小売や流通業に携わっているとよく耳にする「SKU(エスケーユー)」
普段の日常生活ではおそらく使用しない単語であることから、小売や流通業に携わっていない方だと、聞いただけではその意味を把握することは難しいでしょう。
また、日常からこの単語を使用している方でも、いざ他の人に説明しようと思うと案外伝えにくい言葉かもしれません。
本記事では、「SKU」について、どのような意味の単語であるかといった基本的な内容から、使用する上でのメリット・デメリットを解説していきます。さらに実際の現場での活用事例から、どのような使い方をすれば商品検索から顧客の購買行動に導きやすいのかを含めて解説します。
「SKU」に対する造詣が深くなる内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
まずは「SKU」についての前提知識として、以下3点に分けてそれぞれ解説していきます。
まずは、SKUの意味や用途についてを確認した上で、順番に理解を深めていきましょう。
「SKU」とは「Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)」の略称であり、在庫管理における「最小の品目数を数えるための単位」を表します。
一般的には「最小識別単位」と呼ばれるものですが、それ以上分割できない商品単位、つまり、全く同じ商品を顧客に提供できる状態をSKUと表します。実際の使用方法としては「1SKU」や「10SKU」といった表現にて使用されます。
この言葉は、在庫管理を必要とする分野において、業界を問わず使用されています。
実際の現場においては、取り扱うアイテムをSKU単位で管理することが一般的です。なぜなら、実店舗においてはアイテムごとの在庫状況はさまざまであり、サイズやパターンに差が出てきます。
そこで商品補充の際には、SKU単位で進めるほうが分かりやすいことから、一般的に使われています。これは実際に店舗を構える時だけではなく、ネット通販といった業態においても、SKU単位での在庫管理が適切でしょう。
商品を数える単位としてはSKUの他にも、「アイテム単位」と呼ばれるものがあります。アイテム単位は「品目単位」と言われることもありますが、具体的には一つの大きな枠組みを指します。
例えば、アパレル業界を例にあげると、以下のようなものがアイテム単位と呼ばれることとなります。
対して、SKUは「最小の品目数を数えるための単位」であると前述しました。つまり、アパレルの例で解説するならば、アイテム単位に対して、さらにカラーやサイズで分類した商品が対象となるのです。
以降で、実際にSKU単位での数え方について、引き続きアパレル業界を事例に詳しく解説していきます。
ここでは、実際のSKUの数え方について、アパレル業界を事例にして紹介していきます。
例えば、アパレルのアイテム(1つの商品)に対して、そのカラーやサイズなどで細かく分類して「これ以上同じ区分に分けることができない最小の単位」がSKUです。
図のような場合、1アイテム×3カラー(青、灰、白)×3サイズ(S/M/L)=9 SKUとなります。
その他の例:ご紹介したアパレルの例のほかにも、さまざまなSKUがあります。
このように、SKUを使って細かく管理することで、商品のSKU別の売れ筋や在庫を把握して仕入れや商品配置を最適化することができます。このような管理方法をSKU管理(単品管理)と言います。
ここまで、「SKU」単位の基本的な知識と、実際の現場にて使用されている実例を、アパレル業界を参考に解説してきました。
SKUへの理解が深まったところで、ここからは実際にこの単語を使用することでのメリット・デメリットを解説していきます。
まずは、メリットから解説していきますが、大まかに以下があげられます。
まずは在庫管理についてですが、SKUを使用することで、どの流通場面に置いても在庫状況を詳細に確認することが可能となります。結果として、在庫ロスを防ぐことにつながりますので、管理面では非常にメリットがあると言えるでしょう。
そして発注面ですが、ここまで同様にアパレル業界を例として説明するのであれば、「長袖、白シャツ、Sサイズ」を10枚発注するとします。その際、SKUを設定していなければ、「長袖、白シャツ、Sサイズ」の全てを入力する必要があり、ミスの可能性が大きくなってしまいます。
しかし、「長袖、白シャツ、Sサイズ」に対して「LWS」といったSKUを指定すれば、商品をピンポイントで発注することができるのです。(それぞれ「Long、White Shirt、S Size」の略。)
上記メリットの結果として、多くの商品を取り扱うことが可能となります。さらに、店舗での陳列時にも、商品の全体像がSKUによって把握できるので、どの棚にどのSKUを陳列していくべきかがスムーズに把握することができます。
メリットを4つ紹介しましたが、デメリットについては主に以下の内容があげられるでしょう。
実際にSKUを現場で運用させるためには、専用の管理システムとバーコードを読み取る機器などといった、初期投資が必要となります。そのため、小規模の個人商店などの場合ではSKUにこだわらず、通常管理にて把握できる範囲での商品数に抑えることも一つの対策となるかもしれません。
また、SKUのメリットを最大限活用するためには、多くの商品仕分けと陳列作業、商品回転数をあげるための営業活動など、多方面のスキルと経験値が必要になります。
導入時には上手く回らず、以前の管理方法の方がスムーズだったと感じる場合もありますが、経験を積むにつれて多くのメリットを享受できるようになるでしょう。このタイムラグがあるという点については、ある種のデメリットとして把握しておく必要があります。
ここからは、SKUを使用している企業における、実際の活用事例を紹介していきます。それぞれ、以下の3業界における事例となりますので、確認していきましょう。
また、「在庫管理面」でのメリットが多いことは前述した通りです。しかし、実際にはそれだけではなく、商品検索面でも非常に優れた効果を発揮します。
まずはその点について、服飾手芸業界のオカダヤ様における事例から確認していきましょう。
オカダヤ様は創業90年を超える老舗の総合服飾手芸材料店です。
実店舗ではなく、こちらではWeb通販サイトにおける活用事例となります。7万点にものぼる膨大な商品群を対象として、検索領域においてSKUを活用した高速化を実現しています。
実際の導入ポイントについては、主に以下の通りとなります。
オカダヤ様のWeb通販サイトにおける検索欄は、キーワードによる絞り込みはもちろん、ブランドやシリーズ、素材、柄といった多方面からの条件検索が実装されています。さらに詳細な条件検索も可能であり、カテゴリや掲載日といった内容からも絞り込むことができます。
実店舗における講習会との連動も実現しており、ソーイングや編み物、手芸、アクセサリーなど多岐にわたる情報についても検索することが可能となっています。
手芸アイテムは柄や素材違いの商品が多く、どうしても数が膨大になってしまいます。しかしながら、SKUを有効活用した管理によって、顧客が購買する時はもちろん、運営側の在庫管理もスムーズになります。
こちらでは、アパレル企業のWeb通販サイトにおける活用事例を紹介します。
本記事でもここまで事例にあげてきたように、アパレル業界においてSKUは幅広く活用されています。なぜなら、先程のオカダヤ様の事例のように、同一商品の多色展開、サイズ違いがどうしても存在してしまうからです。
同じ商品から枝分かれした色違いの表示切り替えを、株式会社プチバトージャパン様では「グルーピング機能」によって実現されています。
フランスのファッションブランド、プチバトージャパン様では、商品検索の結果ページに「全色表示」のON/OFF機能を備えています。ここをタップすることで、SKU単位の検索結果をアイテム単位の表示に切り替えることができます。
アイテム単位の検索結果だと、気に入ったデザインの商品を見つけてカラー展開を確認したい場合、その商品をクリックして商品ページでカラー展開を確認することになります。
しかし、SKU単位で表示することで、多色展開のある商品を検索結果のページ内で確認することができるので、ユーザにとって商品ページ内でカラー展開を確認するという手間を省くことができます。
ここまで、服飾手芸業界、アパレル業界における2つの事例を確認してきました。ここで紹介するテシード様は、建築に使用する壁紙を取り扱っています。
テシード様の取り扱う壁紙は輸入品であり、その特性上バリエーションが多岐に渡ります。しかし、これらの管理についてもSKU単位を活用することによって、スムーズな検索が実現されています。
輸入壁紙を紹介するテシード様のサイトでは、壁紙というデザイン性の高い商材の露出を生かし、SKU単位で検索結果を表示しています。
カラーによって全く雰囲気の異なる壁紙を、お客様が好みの商品を探せる検索結果となっています。さらに、品目、在庫場所、色、柄、スタイル、価格、ブランドなどの他項目の絞り込みを備えることで商品を探しやすくしています。
このように、商品検索ではアイテムとSKUを使って検索結果を様々に表示することができます。商品の特徴やユーザの購買行動に合わせたECサイトの検索結果表示は、店舗に例えると接客による商品提案のような役割を持っています。
ユーザの「検索キーワードの入力」や「商品の絞り込み」という購買行動に対して、店舗であればどのような商品を提案するか、注力したい商品がこれで、どのように商品を見せたい、というような様々な要件によって検索結果の出し方は変わってきます。
ビジネスサーチテクノロジでは、商品検索の提供を通じて培ってきたノウハウで皆様のECサイト改善をサポートします。商品検索についてのご相談や改善提案のご希望がございましたら、まずは一度ご相談ください。
GENIEE SEARCH編集部
(X:@BST_hoshiko)
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