アパレル関連のECサイト市場規模は年々拡大傾向にあります。長引くコロナ禍の影響もあり、利用者の数はこれからも伸び続けていくと考えられています。
アパレルを取り扱うECサイトとひと口に言っても、実際にはさまざまな種類があることをご存知でしょうか。
一般的な5つの分類と、それぞれの代表サイトを以下にまとめました。
ECサイトの種別 | 代表例 |
モール型EC | 楽天市場/Amazon /Yahoo!ショッピング/ZOZOTOWN |
メーカー直販(D2C) | 各企業 |
フリマアプリ | メルカリ/ラクマ |
シェアリングエコノミー | エアークローゼット/メチャカリ |
自社ブランド | 海外ハイブランド/個人から中小企業までのブランド |
それぞれの具体的な特徴、企業によっては参入に向き不向きがありますのでおおよそではありますが、こちらで確認しておきましょう。
このように、ECサイトといっても実際は複数の種類に分けられ、それぞれの特徴も違っています。本記事は、ECサイトに関する市場動向から、現在抱えている課題までをまとめた内容となっています。
一読いただければ、2022年度における業界動向を把握できるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
画像出典:経済産業省 製造産業局 生活製品課「繊維産業の現状と2030年に向けた繊維産業の展望(繊維ビジョン)の概要」
市場全体の規模については、1990年をピークに縮小していましたが、2000年以降ほぼ横ばいとなっています。
2020年はコロナ禍の外出自粛の影響を受け、市場規模は急激に縮小しました。国内生産量に関しても減少傾向が続いており、海外へ生産拠点を移す企業が増えたことに起因していると考えられています。
国内の市場規模が横ばいであることを受けて、より大きな市場を求めて海外への販路開拓を目的としていることや、生産拠点を海外に移すことで現地労働力の利用によるコスト削減、原材料の現地調達による輸送コスト削減、外国企業向けの税制優遇によるコスト削減などの対策を進めた結果といえます。
画像出典:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
国内におけるEC市場規模は、スマートフォンが普及し始めた2010年代前半を皮切りに年々拡大し続けており、2020年には2013年と比較して約170%もの伸長となっています。
また2019年と2020年の比較においては、アパレル関連が属する物販系分野は約22%と大きく伸長しました。これはコロナ禍というイレギュラーな状況が大きく影響しており、これまでECサイトを運用してこなかった物販系分野の事業者が大幅に参入したと考えられます。
物販系分野の具体的なデータを確認してみると、「衣類・服飾雑貨」は約120%と伸長しており、特にEC化率は約8%と大幅に伸びていることが確認できます。
物販系分野全体のEC化率が約8%でありながら、アパレル関連は約20%にもなっており、その拡大傾向の規模が把握できるデータであるといえます。
≫≫ ECサイトに必要なサイト内検索のサジェスト機能とは?導入するメリットを解説
≫≫ SKUとは?SKU単位の数え方や意味を活用事例も用いて解説
ファッション・アパレル市場規模は縮小している中、EC化が急激に拡大している要因は、2020年に発生したコロナの流行があげられます。
前述したグラフでも確認できるとおり、旅行や飲食関連のサービス分野は市場規模を2020年に大きく低下させています。
その反面、物販系分野は大きく伸長しており、デジタル化推進もコロナ禍をきっかけに急激に普及することとなりました。
2020年は市場全体としては大幅に縮小しましたが、ECサイトに絞ったデータではこのように急成長を遂げているのです。
以下は2022年の最新データを元に抽出した、ECの売上ランキングトップ5社の情報です。
社名 | EC売上高(百万円) | 増減率(%) |
ZOZO | 166,199 | 12.8 |
ユニクロ | 126,900 | 17.9 |
アダストリア | 57,400 | 6.8 |
ベイクルーズ | 54,500 | 6.9 |
オンワードホールディングス | 43,100 | 6.3 |
転載元:通販新聞(9月25日発売の「月刊ネット販売」10月号「第22回ネット販売白書」に300社の売上高ランキングを掲載)
2021年度に引き続きトップはZOZOが牽引する形となりましたが、第2位のユニクロは約18%もの伸長をみせています。ユニクロはEC化率では15%程度と低い状況ではありますが、ここまでの高成長は目を見張るものがあります。
これは外出規制が緩くなったことに加えて、在宅需要に適したアイテムが揃うことが躍進につながったと考えられるでしょう。第3位以降の各社についてもほぼ同等の伸長率となっており、2022年は様々な工夫を凝らしながら伸長した1年だったといえます。
コロナ禍の影響を大きく受けたアパレル業界は、店舗休業を余儀なくされるなど窮地に立たされました。
そのため各社さまざまな対策を講じることとなりましたが、その中でも対策が成功した事例がいくつかあります。ここでは、成功事例3社を解説します。
日本を代表するブランドであるユニクロは、商品企画から販売までを1社で完結させるビジネスモデルを構築しています。
その中でも近年はオリジナルブランドのUniqlo U、+J、Theoryとのコラボ商品が大ヒットし、各店舗で完売が続出するなど大きな話題を呼びました。多くの人がユニクロに抱いていた「ファストファッション」のイメージを覆すために、十分な効果を発揮したといえるでしょう。
EC化率は日本では約13%と低い数値ではありますが、中国では約20%、北米では約40%と各国の状況に合わせた対策を取っています。
今後は店舗とECを連動したサービスを拡充させていく予定であり、これからもユニクロの勢いは衰えないことが考えられます。
ZOZO(ZOZOTOWN)はファッションに特化したECモールであり、ユーザビリティを意識したサービスを展開しています。
例えば2017年に登場した「ZOZOSUITS」では、正確な体型データを元に適切なサイズ選択を可能にするなど、従来のECサイトにおけるサイズ感のミスマッチという最大の懸念事項を払拭することに成功しました。
またスピーディーな物流を実現させることで、在庫リスクの減少、結果として顧客満足度の向上にもつなげています。さらにECサイトで最も苦労する集客についても、コーディネートアプリ「WEAR」によってアクセスが集まる流れを構築しています。
このように、効率的なデジタルマーケティングを元にしたファッションECモールであるZOZOTOWNは、多くのブランドにとって認知度拡大はもちろん売上向上にもつながるサービスとなっているのです。
主に30代後半までの若年層をターゲットとしているJOURNAL STANDARDに加え、約50にものぼるファッションブランド、飲食店、家具など幅広い事業を手掛けています。
ベイクルーズはECモールに依存することなく、ECシステムの開発から運営までを内製化していることが特徴です。その結果ECの売上高は2015年から2020年の間で、300%以上の急成長を遂げました。
構成比としては自社サイトが約70%を占めており、ベイクルーズが持つ高いブランド力と商品力を最大限に活かした戦略がこの成功につながったといえるでしょう。
コロナ禍が思わぬ追い風となって、市場の変化に対応ができた企業のEC事業は急成長しました。この傾向は一見順調そうに思われますが、実は大きな2つの課題を抱えています。
まず1点目は、冒頭でお伝えしたとおり、ファッション・アパレル市場全体が縮小傾向にあるということです。
前述したように1990年をピークに市場は縮小、それ以降はほぼ横ばいの状態が続いていました。2020年度においてもECでの売上は伸長しましたが、全体の市場としては大幅に縮小しております。
EC市場が大きく伸長したように見えますが、裏を返せばそれまで普及率が低く、コロナ禍をきっかけに需要が急激に集中した結果ともいえます。
またECでの購買が浸透することで、実店舗が単なるショールーム化してしまう可能性もあります。これは課題の2つ目ですが、ECが台頭し始めたころから懸念されてきた「実店舗のショールーミング」です。
実店舗では商品の確認、試着だけを行い、購入はECで行なう顧客が増加することは十分に考えられます。もし販売窓口が複数あるブランドの場合、企業内で顧客の取り合いが発生してしまう上、店舗スタッフの働く意欲を削いでしまう可能性もあります。
このように、縮小し続ける市場、ショールーミングによる実店舗の低迷といった課題をECの普及に伴って解決していく必要があるのです。
一般的にアパレルを取り扱うECサイトは情報量が膨大になることが多く、アクセスした顧客が目的のページを見つけにくくなってしまいます。
そのような状況に有効な機能が「サイト内検索」です。ユーザの離脱を防ぎ、結果としてCVRの向上にもつながる、アパレルECサイトにおいて必須の機能といえます。
サイト内検索ツールは複数存在していますが、その中でもおすすめのツールは「GENIEE SEARCH for EC」です。実際にアパレルブランドを代表するラコステジャパン様での導入実績があり、高い効果を実感していただいています。
機能の拡張性の高さと導入スピードの速さを決め手に選定いただき、また導入後もブラッシュアップを続け、担当者と一緒に試行錯誤しながらどんどんECサイトを作り上げていける点に魅力を感じていただきました。導入後は検索後のユーザ直帰率が83%も改善、また従来使用していたツールと比較して検索経由のCVRも約47%も向上する結果が出ています。
≫≫ サイト内検索ツールでCVは増える?活用事例5選から効果を読み解く
GENIEE SEARCH for ECは検索時のサジェスト、絞り込み、比較など購買に必須となる機能を高いレベルで提供しています。さらに商品ページへの動線を確保することで、高いCVRが期待できるでしょう。
膨大なアイテムを取り扱うアパレルECサイトにおいて、大きな役割を果たすことが可能な「GENIEE SEARCH for EC」をぜひ一度お試しください。
GENIEE SEARCH編集部
(X:@BST_hoshiko)
ECサイトや企業サイトにおける快適なユーザ体験を実現するための導線改善方法から、ECマーケティングの手法まで幅広く情報を発信しています。