コロナ禍をきっかけに多くの企業が実店舗での販売だけではなく、ECサイトを利用した販促施策を展開しています。
しかし顧客の要望や行動がデータという数字でしか把握できないECサイト運営の成果は、一朝一夕で現れるものではありません。実際に多くのEC参入企業が、ECサイト運営に苦労しているといった悩みが多く聞かれます。
その一方で、ECサイト運営を成功させ企業ブランドの認知拡大や売上増につなげている企業も存在しています。ECサイト運営がうまくいかない企業と成功する企業、それぞれにどのような違いがあるのでしょうか。
今回の記事では数多く存在するECサイトの中から、運用の成功事例となるサイトを紹介します。そしてそこから見えてくる、ECサイト運営を成功させるために重要な3つの法則をお伝えします。
ぜひ最後までご覧ください。
初めて訪れるECサイトにおいて、ユーザは目的の商品ページへすぐにアクセスできなければ、そのサイトを離脱し別のサイトで再度商品を探すために検索を行う傾向にあります。
この状況を実店舗に例えると、売り場案内人がいない店舗で膨大な商品棚から自力で目的の商品を探し当てなければいけない状況となるでしょう。近くに売り場案内人がいる店舗があれば、時間を無駄にすることなく買い物ができます。
このように、ECサイトにとっても、実店舗の売り場案内人に代わるナビゲーションは重要な要素です。この章では、ナビゲーション改善に成功した3つの企業のECサイトを紹介し、それぞれの改善方法を解説していきます。
エース株式会社は主にスーツケースをはじめとしたバッグ全般を取り扱っています。
商品カテゴリが細かく、適切なナビゲーションが必要となるECサイトですが、以前まではカートシステムの検索機能が十分に使用されていませんでした。結果として、ユーザの多くが目的の商品ページへアクセスできていないという課題がありました。
この課題に対してナビゲーションシステムの改善を実施したところ、ユーザの検索利用率が10倍以上に増加しました。そして検索後の購入率も8倍にも増加するという、非常に高い効果を発揮しました。
特にナビゲーションシステムにおいて、ユーザの入力ミスを防ぐ機能を追加、検索結果を検索窓上で画像付きで表示させるなどの施策が有効であったと考えられています。またカテゴリによる絞り込みや、結果の並べ替えなどもユーザビリティと購買率の向上に大きくつながったといえるでしょう。
≫≫ サイト内検索事例動画:エース様「検索経由のCV率が約8倍の効果」
株式会社フィラディスはワインを取り扱っており、商品の特性から外国語の商品名や産地、生産者名、品種、品種の別名など、検索キーワードの揺れが多い傾向にありました。また、取り扱うアイテムの価格帯やコンセプトにあわせてECサイトを3つに分けていたため、ユーザが商品を検索する際に、それぞれのECサイト内の商品しか探せないようになっていました。
1つのサイトで目的の商品が見つからなかった場合でも、ほかの2つのサイトの商品に誘導できれば、離脱を防げるのではと考え、ナビゲーションシステムを改善しECサイト運営を成功に導きました。具体的には、3つの通販サイトを横断検索することで、一度のサイト内検索で3つのECサイトの検索結果を表示できるようにしました。
さらに価格帯やコンセプトなど、複数サイトの商品を対象とした絞り込み機能を導入し、複雑な検索ワードに対する表記ゆれにも対応したことで、サイト利用者に対するアンケートでは約70%のユーザが「探しやすくなった」とユーザビリティを高く評価し、サイト直帰率も5%改善しました。
≫≫ サイト内検索導入事例:株式会社フィラディス様「検索改善で直帰率5%改善!」
サイズ違いや色違いなど、1商品に対するアイテム数が膨大になってしまうアパレルECにおいても、ナビゲーションシステムの改善は非常に効果的です。
ハニーズはベーシックからトレンドまで幅広いファッションアイテムを取り扱っていますが、以前は商品の絞り込み機能が十分でなく、ユーザが希望商品にたどりつけないという課題を抱えていました。そのためブランド、カラー、サイズなど複数の項目で絞り込めるナビゲーションシステムへと改善し、増収へとつなげることができました。
加えてスマホサイトでのユーザビリティも向上させるなど、徹底して絞り込み機能を強化することで、サイト内検索経由のCVRは70%も増加する結果となりました。
メーカー、食品、アパレルECサイトにおける、運営の成功事例を紹介しました。実際にECサイトを成功させるにはどのような法則があるのでしょうか。
この章では、以下3つの法則をそれぞれ解説します。
多様化するECサイトにおいて、従来のように商品画像や価格、単純な解説を記載しているだけのページでは十分とはいえないでしょう。ECサイトを成功に導くためには販売商品それぞれに対して、商品の使用方法、特徴を詳しく伝えるための「コンテンツ」を作成する必要があります。
コンテンツページを充実させることで、ユーザが商品に興味を持つきっかけを作ることができます。コンテンツページを作成する場合は、文章だけではなく写真や動画でも訴求することで、商品の魅力をより詳しく伝えられるでしょう。
スマホやPCの画面上からでも、商品の強みが最大限に伝わる写真や動画を掲載したコンテンツを作成することが、ECサイトを成功に導く第一歩となります。
前述したコンテンツの作成は、単に商品の魅力をユーザに訴求するだけではなく、購入に対する不安感を取り除くことも目的です。
ECサイトで商品を購入する際は実店舗とは異なり、商品を実際に触って試すなど、リアルな使用感をイメージしにくいというデメリットがあります。そのためコンテンツから進んだ商品購入ページには、より深く商品の使用イメージを伝える努力をしなければいけません。
豊富な写真や動画を掲載したり、購入者の口コミなどを記載したりすることも効果的です。
さらに現在では、ライブコマースでメリットを伝える手法も増えています。ライブコマースとは、SNSなどのライブ機能を活用し、リアルタイムで商品の告知を行う手法です。ライブ機能は参加型になるため、その場で使用感などをリアルタイムで伝えることができます。
リアルタイムでの訴求はユーザと企業がコミュニケーションを取れる貴重な機会になりますので、ブランドや商品に対する信頼感も高まるでしょう。
ECサイトを設計する段階で、ユーザが商品を認知してから実際に購入するまでの導線をイメージすることが重要です。
ECサイトに初めて訪れたユーザは、どこに求めている商品があるのかわからないため、サイト内検索機能を使用して、商品ページにアクセスします。商品ページにアクセスして、気に入った商品をカートに入れ、購入画面に移動し、決済情報を入力して商品を購入します。
この一連の流れがスムーズに行われなければ、離脱率を上げる原因になってしまいます。
まずは、ECサイトに訪れたユーザが求めている商品を検索する際に、候補語の表示などで入力の手間を省き、検索した際に適切に商品を表示させることでユーザビリティの向上につなげましょう。そこから、ユーザの不安を取り除くためにも商品ページにコンテンツページの導線を設置し、ユーザの購買行動を後押しします。
商品ページやコンテンツページの目立つ位置にカートボタンなどを設置し購入のステップをわかりやすくし、さらにカゴ落ちを防ぐためにも、なるべくユーザが入力しなくてはならない情報を減らすことも重要です。
このように商品の認知から購入までの導線をイメージして適切な対応をすることが、ECサイトを設計するうえでも重要だといえます。
≫≫ ECマーケティングとは?EC担当者が見落としがちな施策を解説
前述したように、ECサイトではユーザの導線を確保することが重要となります。
この「導線」とは物理的な人や物の動きを指す「動線」とは異なり、Webサイト上でユーザを誘導する仕掛けを意味します。ECサイトに訪れたユーザが動きやすいようにルートを用意し導くことで、すぐに目的のページに辿りつけるようにすることが重要です。
それでは導線を強化する方法について、以下の内容をそれぞれ解説していきます。
ECサイトと一括りにしても、実際は企業によって目標は異なっています。
そのため、まずはECサイトで実現したい最終目標を、以下の例のように明確化しましょう。
最終目標に応じて必要とするECサイト上の機能やデザインが異なってきます。まずは最終目標を明確にした上で進めることが重要だといえます。
≫≫【EC担当者必見】ECサイトの売上を上げるための販促施策10選を紹介
ECサイトは実店舗とは異なり、スマホやPCの画面上でしか商品を探すことができません。
そのためECサイトを来訪したユーザにどこに目的の商品があるのかわかりやすくするため、適切なナビゲーションやツールの導入は必須です。特に、ECサイトを訪れたにもかかわらず、購入に至らなかった理由の34%はナビゲーションが十分に働かなかったためというデータもあります。
このデータは言い換えると、高機能なナビゲーションを導入することで、34%の購入に至らなかった理由を持つ見込み顧客を売上につなげられる可能性があるともいえるでしょう。ユーザビリティの向上はECサイトを成功させる上で必須です。
高機能なナビゲーションの設置と、適切なツールの導入は導線強化において欠かせないものとなるでしょう。
≫≫ Webサイトのナビゲーションメニューの種類と役割を徹底解説
ECサイトの運用を開始したら、随時動線の分析を実施しましょう。一例として、以下のような内容を確認する必要があります。
運営側は最適だと考える動線やサイトデザインだとしてもユーザの行動を分析することでより良いECサイトへとブラッシュアップすることができます。定期的にユーザの動線を分析して、改善を繰り返していきましょう。
≫≫ サイト内検索はデータ収集後の分析が重要!見るべきポイントまとめ
ECサイトの成功事例と、実際に成功に導くための以下の3つの法則を解説しました。
また、EC運営の成功には適切なナビゲーションツールが必要となるでしょう。
ユーザの導線設計強化、CVR率の改善にも直結する機能ですので、高機能なツールの導入検討をおすすめします。