近年はコロナ禍の影響もあり、多くの業界においてECサイトでの売上拡大を目指す傾向が続いています。それは食品業界も例外ではなく、現在では自宅に居ながらも日本や世界各地のグルメを楽しむことができます。
手軽に旅行気分や非日常感を味わえることもあって、注目を浴びている食品ECサイトですが、実はいくつかの課題も抱えています。
本記事ではそんな課題を解決し食品ECサイトを成功させるためのポイントについて解説していきます。
令和2年度に経済産業省が作成した「電子商取引に関する市場調査」によると、食品関連業界におけるEC市場(BtoC)は2020年には22,086億円の市場規模となっています。
2019年比で約121%と大きく伸長しておりますが、EC化率については約0.4ポイントしか伸長しておらず、市場規模の拡大と比較すると非常に少ない数字に感じられるでしょう。
また、物販業界の中でも3.31%というEC化率は極端に低く、トップの「書籍関連」とは約40%もの差が開いています。これらのデータから、主に以下のことが考察できるでしょう。
ここまで需要が急増している状況であれば、食品を取り扱う企業の多くがECサイトを新規に立ち上げ、事業拡大を目指していそうです。
しかし実際のEC化率は非常に低いのが現状です。企業がEC事業に参入していない理由を、次の食品ECサイトの課題で解説します。
前述したように食品業界のEC化率は極端に低く、コロナ禍で需要があるにもかかわらず新規参入企業は多くなかったことが推察できます。
こちらではその要因となる、食品ECサイトが抱える3つの課題について、以下の内容に沿ってそれぞれ解説していきます。
多くの顧客が食料品はその日の食事、もしくは近日中に必要と考えるものを購入します。そのため身近にあるスーパーやコンビニと比較した際、配送時間は大きなネックになると考えられます。
必要な時に、食べたい商品がすぐに届かないという点は、顧客が食品ECを利用する上で一つの懸念点となるのです。
食料品は、基本的に安い傾向にあります。食費は家計に密接に関わりますので、より安く購入したいという心理から客単価も低くなりがちです。
しかしながら、運営側は配送時に冷蔵品や冷凍品の保管システムや、在庫管理システムをしっかりと構築する必要があり、ランニングコストが高額となってしまいます。
このような背景から、食品ECサイトは高コスト低利益という、運営側にとって厳しい条件となっています。
令和2年度消費者庁委託「EC サイト食品表示実証モデル構築事業」の実施報告書によると、購入後のトラブルで多くあげられている内容に「写真イメージと実物に大きなギャップがあった」というものがあります。
食品を購入する際には基本的に手にとって確認することが多く、野菜やお肉といった生鮮品であればその傾向はより一層強くなるでしょう。実際に手にとって商品が傷んでいないかなどを確認したい顧客にとっては、写真通りの商品が届くのかといった不安が残ります。
写真では綺麗に写っている商品でも、実物は傷んでいたり、想定していた大きさよりも小さくイメージと乖離しているケースが考えられます。
ECを通した販売であれば、顧客が抱くイメージと実際の商品とのギャップによって、購入後のトラブルに発展する可能性もあるのです。
食品ECサイトが抱える問題について解説してきましたが、一方で成功につなげられる強みもあります。
先ほど提示した「EC サイト食品表示実証モデル構築事業」実施報告書によると、インターネットで食品を購入する理由について、以下があげられています。
買い物を徒歩や自転車などで行う場合は重たい荷物を持つのは一苦労です。この煩わしさは直接自宅に配送してくれることで解消されますし、時間の節約につながるため、食品ECならではの強みといえます。
では、食品ECでどのようなカテゴリの商品がよく購入されているのかを紹介します。
生鮮食品や、毎日店舗に配達される日配品(卵、牛乳、豆腐など)のような賞味期限の短い食品の順位が低く、お菓子などの嗜好品、長期保存できる食品、さらには普段の買い物では重くなる飲料が上位にきています。
これらのデータをもとに、食品ECを成功へと導くコツをこれから解説していきます。
今では年代を問わずに利用されているSNSにおいて、食べ物や食事の風景は注目されやすい投稿の1つです。美味しかったお店や料理のレシピなど、食事に関する投稿が日々発信されているため、SNSで情報を探すニーズが高まっています。
販売している食品と実際の調理例や、日常にどう取り入れているのかなどの情報を積極的に発信し合うことで、商品に対する不安解消はもちろん、一度使ってみたいという興味喚起にもつながります。
このように、SNSと食品の親和性は高く、適切に利用できれば実店舗を上回る実績が作れるでしょう。
日頃みかけない珍しい商品が購入できることも、食品ECの強みです。実店舗と明確に差別化を進めることで、顧客はそのECサイトを利用して買い物を継続することが考えられます。
さらにリピートを後押しするために、ポイント制にして顧客を囲い込む施策も有効です。
しかし、ECサイト上では食品を手にとって確認できない課題がありますので、写真素材を豊富にしながら、テキストなどでしっかりと情報を伝える工夫をしましょう。
冒頭で提示した「EC サイト食品表示実証モデル構築事業」の実施報告書によると、食品ECにおいて「食品基本情報を確認する際に情報が探しづらい理由」について、以下の意見があげられています。
多くの顧客は購入を検討している食品の基本情報を求めています。基本情報が見にくい、見つからないといった場合には、商品の購入自体をやめてしまうケースも考えられるでしょう。
そのような状況の対策としては、「サイト内検索ツール」の導入が必須となります。
顧客が知りたい情報へすぐにアクセスできることは、購入のモチベーション低下を防ぎます。サイト内検索ツールに関しては、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
≫≫ サイト内検索エンジンでECサイトの売上が改善!おすすめのツールを紹介
食品業界はまだまだEC化率も低く、抱えている課題も少なくありません。
しかしながら実店舗とは違う魅力をアピールすることで、成功につなげることは十分に可能であるといえます。
そのためにはSNSと連動したマーケティングや豊富な商品情報はもちろん、ユーザビリティに考慮したサイト構築が重要となります。だからこそ「サイト内検索ツール」の導入は必須といえます。
多くのサイトで成果を出している以下のツールを使用して、効率よく売上げアップを目指しましょう。