時間や場所に縛られず商品販売できるECサイトの構築を検討している企業は、少なくありません。
しかし、どのECプラットフォームを選択すればよいか、コストはどの程度かかるかなどの疑問や不安を抱えている企業も多いかと思います。ECプラットフォームは大きく5種類あり、予算や専門人材の有無などに合わせ、選択する必要があります。
本記事では、ECプラットフォームの概要や種類、選び方について詳しく解説します。
ECプラットフォームについての理解を深め、目的にあったECサイトを構築したい方は、ぜひ参考にしてください。
ECプラットフォームとは、ECサイトを構築する際にベースとして利用するシステムやソフトウェアのことです。
一言でECプラットフォームといっても以下の通り複数あり、それぞれ特徴や強みが異なります。
ECプラットフォーム一覧 |
◾️|ECモール ◾️|ショッピングカートASP ◾️|ECパッケージ ◾️|オープンソース ◾️|フルスクラッチ |
ECサイトを構築する際は、費用や専門人材の有無などから、どのプラットフォームを利用するかを検討しなければなりません。
また、ECサイトは大きくECモールと自社ECの2種類の形態に分類されます。ここからは、ECサイトにおける形態の違いについて詳しく解説します。
ECサイトには、大きくECモールと自社ECの2種類が存在します。
ECモールとは、一つのプラットフォームに複数の企業が出店する形態のことで、リアル店舗における百貨店やショッピングモールのイメージです。
モール自体が大きければ大きいほど、認知度が高くモール全体として集客が期待できます。
しかし、出店者にとってはモール独自のポリシーやルールを守る必要があり、他の出店者との差別化が難しくなる場合があります。
一方、自社ECとは企業が独自に構築・管理するECサイトのことです。
モールと異なり、ルールやポリシーに縛られず、自社に合わせ運用しやすい点が特徴です。
ECプラットフォームは以下のとおり複数存在します。必要となる費用や構築期間、担当者のスキルレベルやエンジニアの有無により、選択すべきECプラットフォームが異なります。
ECプラットフォーム名 | 特徴(メリット/デメリット) |
ECモール | ・比較的簡単にはじめられ、高い集客力が期待できる ・他ショップとの差別化が難しい |
ショッピングカートASP | ・簡単かつ短期的にECサイトの構築ができる ・自社に合わせた柔軟なカスタマイズができない |
ECパッケージ | ・カスタマイズ性やセキュリティ性が比較的高い ・初期費用が高くなりがち |
オープンソース | ・フルスクラッチと比べ、開発費用や開発期間を抑えられる ・高度なスキルがなければ開発できない |
フルスクラッチ | ・自社に合わせて自由にECサイトを構築できる ・多くの費用がかかり、開発にも長い期間がかかる |
ここからは、5つのECプラットフォームの特徴について詳しく解説します。
・ECモールとおすすめ製品 ・ショッピングカートASPとおすすめ製品 ・ECパッケージとおすすめ製品 ・オープンソース ・フルスクラッチ |
前述の通り、ECモールとは一つのプラットフォームに複数の企業が出店する形態のことです。代表的なECモールは以下です。
Amazon
世界最大級のショッピングモールの一つです。
1点から出品でき、出店のしやすさがポイントです。
また、EC事業に必要な商品の保管・梱包・出荷・配送・返品対応を代行してくれる「フルフィルメント by Amazon」といった出店者向けのサービスも展開しており、体制が整っていなくてもEC事業を開始できます。
楽天市場
1996年からサービスを提供している日本では老舗の知名度・ブランド力とも高いショッピングモールです。
連携している楽天カードのポイント還元率が高く、楽天トラベルや楽天証券などをグループ企業が提供していることから多くの会員を保有しています。
定期的なキャンペーン開催で、ユーザ人気が高い点も魅力の一つです。
Yahoo!ショッピング
ソフトバンクグループの企業が展開するショッピングモールです。
Yahoo!ショッピングは、初期費用や月額固定費などが無料で、費用を抑えた出店ができるほか、決済サービス「PayPay」との連携などにより出店者が増加しており、国内最大店舗数を誇ります。
ECモールを利用することでプラットフォームを提供・運営する企業が、ホスティングやセキュリティ、決済処理などを管理するため、専門知識がなくてもECサイトを手軽にはじめられます。
また、大手ショッピングモールであればブランド力も高く、集客面も期待できます。
自社で広告出稿などを行う必要はありません。
選ぶプラットフォームによっては初期費用がかからない点や、サポートが受けられる点もECモールのメリットです。
しかし、ショッピングモールは売上金額や売上数量に応じて、費用が発生する料金体系を採用している場合が多く、売上が高くなればなるほど費用が発生します。
ほかにも、同じような商品を販売している企業も多く、価格競争に陥るケースもあります。商品を購入したユーザ情報を全て閲覧できるわけではないため、マーケティング施策も制限されます。
ショッピングカートASPとは、サービス提供事業者がインターネットを通じて提供するアプリケーションを活用し、ECサイトを構築する方法です。代表的なショッピングカートASPは以下です。
Shopify
世界中で利用されているショッピングカートASPです。カスタマイズ性が高い点が魅力で、機能を拡張できるアプリが多数存在します。
また、多くの言語や通貨に対応し海外発送も可能です。国内のみならず海外向け越境ECサイトの構築ができます。
さらに、利用者が多くコミュニティも充実しているため、運用に関する情報を得やすい点も特徴の一つです。
BASE
2021年の9月時点でECサイト開設数が160万ショップを突破し、国内トップシェアを誇るショッピングカートASPです。
初期費用や月額費用をかけずに利用できます。
他の有料ショッピングカートASPと比べ機能性は高くありませんが、Appsの追加により拡張も可能です。
STORES.jp
BASEと並び高い人気を誇るショッピングカートASPです。
初期費用や月額費用が無料で販売手数料が多少高い無料プランと、月額費用がかかる分販売手数料が安くなる有料プランの2種類が提供されています。
無料プランの販売手数料もBASEと比べると安く、また決済方法が充実している点がSTORES.jpの強みです。
ショッピングカートASPでは、用意されているテンプレートからデザインを選択するとともに、必要な機能を追加でき、比較的簡単かつ短期間にECサイトを構築できます。
高度なスキルが必要ないため、ECサイト構築がはじめての方も安心です。
また、無料のショッピングカートと有料のショッピングカートがあり、無料のものを活用すれば費用負担を抑えられます。
しかし、カスタマイズ性はそれほど高くありません。
ASPが提供するテンプレートや機能のみの利用となるため、自社に合わせた柔軟なカスタマイズは困難です。
ECパッケージとは、企業が提供するソフトウェアを活用しECサイトを構築する方法のことです。代表的なECパッケージは以下の通りです。
EC-Orange
VRコマースなど新しいスタイルのECサイト構築ができるECパッケージです。
自由度が比較的高く、自社の要望に合わせたサイトを構築できます。また、実店舗の在庫や配送情報なども一元管理が可能なため、実店舗を運営している企業におすすめです。
さらに、日本語だけでなく英語・中国語での表示も可能で、海外への販売にも活用できます。
ecbeing
1,600サイトを超える導入実績があり、さまざまな業界のノウハウを保有するECパッケージです。
SNSとの連携やSEO対策、リスティング広告などマーケティング機能が豊富で、集客効果が期待できます。また、24時間365日セキュリティサポートを行っているため、安心して利用できます。さらに、オプション機能が豊富で自社に合わせたECサイトの構築が可能です。
ebisumart
導入費用が比較的安く短期間で導入できる特徴を持つECパッケージです。
アクセス数に応じた従量課金プランや毎月固定の課金プランなど、複数の料金プランが用意されているため、自社に合わせたプランを選択できます。
利用企業ごとに専任のサポート担当者がつき、充実したサポートが受けられます。
ECパッケージは、ECサイトに必要な以下の基本機能が網羅されているため、ゼロから自社で開発する必要はありません。
ECパッケージに搭載されている基本機能 |
◾️|商品管理 ◾️|ショッピングカート ◾️|受注管理 ◾️|売上管理 ◾️|ブログ ◾️|メールマガジンの配信 など |
ベース以外のデザインや機能などは、比較的自由にカスタマイズできます。また、ソースコードが公開されていないためセキュリティ性が高く、構築する際はベンダーからサポートを受けられ安心です。
一方、構築には高度なスキルが必要で時間もかかるほか、初期費用が比較的高くなりがちです。さらに、運用し続ける中で法律やセキュリティ対策などの変更にあわせバージョンアップが必要となり、費用が発生します。
インターネット上に無償で公開されているソースコードであるオープンソースを活用し、ECサイトを構築する方法です。
ECサイトに関するオープンソースは多数存在し、そのオープンソースを活用すればフルスクラッチと比較し、費用や手間を抑えECサイトを構築できます。
また、自社要件に合わせたサイト構築が可能です。
しかし、高度なプログラミングスキルがなければ、構築やバグ対処などが難しく、ソースコードが公開されていることからハッキングなどで狙われやすい特徴があります。
強固なセキュリティ対策を実施しなければ、リスクがあるため注意が必要です。
フルスクラッチとは、他社が提供するシステムやソフトウェアを活用せずに、自社でゼロからECサイトを構築する方法です。
ゼロから開発を行うため、自社に合わせ「機能」「デザイン」「UI」「他システムとの連携」などのような点を自由に設定できます。
一方、構築には高い開発スキルと多くの費用、長い期間が必要になります。
開発だけでなく、自社でのサーバ構築なども必要になるため、より費用負担が多くなります。
また、セキュリティ対策も独自に行う必要があり、個人情報の流出などが起きた場合、経営に悪影響を及ぼすリスクがあります。
潤沢なリソースを抱える企業でなければ、フルスクラッチでのECサイト構築は困難です。
各ECプラットフォームにおける初期・月額費用や構築期間は以下の通りです。
構築方法 | 初期費用 | 月額費用 | 構築期間 |
ECモール | 0円~ | 0円~ | 1日~ |
ショッピングカートASP | 0円~ | 0円~ | 1日~ |
ECパッケージ | 500万円~ | 10万円~ | 3ヵ月~半年程度 |
オープンソース | 0円~ | ~10万円 | 3ヵ月程度 |
フルスクラッチ | 数千万円~ | 数十万円~ | 1年~数年 |
各方法で、必要な費用や期間が異なるためご注意ください。ここからは、ECプラットフォームの選び方について詳しく解説します。
ECプラットフォームを選ぶ際は、まず予算をもとに検討するとよいでしょう。どのプラットフォームを採用するかで予算が大きく異なります。
まずは、トータルの予算のうちどの程度をECサイト構築にかけられるかを明確にすることが大切です。その予算の中で、プログラミングなどのスキルがある人材がいれば、フルスクラッチなどのカスタマイズ性の高いプラットフォームの選択が可能です。
専門人材がいない場合や予算が少ない場合は、ECモールやショッピングカートASPの利用がおすすめです。もちろん、外部委託もできますが、その場合に必要な費用は少なくありません。
予算、専門人材の有無を把握したら、いつまでにECサイトを構築したいかを検討する必要があります。
ECサイトを構築したからといって、すぐに商品が販売できるわけではありません。
商品登録などの作業や、SEO対策・広告出稿などを行い、ECサイトの認知度をあげなければ、商品の販売はできません。
いつまでにどの程度の売上をあげたいかを決め、そこから逆算しいつまでにECサイトを構築する必要があるかを検討する必要があります。
本記事では、ECプラットフォームの概要や種類、選び方について解説しました。
ECサイトを構築する際は、5つのプラットフォームから、予算や専門人材の有無、いつまでに構築したいかなどを考え、合う方法を選ぶことが重要です。また、ECサイトの構築後は、ユーザビリティが向上しコンバージョン率アップなどにつながるサイト内検索の最適化もあわせて行うことも大切です。
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GENIEE SEARCH編集部
(X:@BST_hoshiko)
ECサイトや企業サイトにおける快適なユーザ体験を実現するための導線改善方法から、ECマーケティングの手法まで幅広く情報を発信しています。