EC市場の拡大が続くなかで、これからEC事業を始めようとする企業や、現在運営中のECサイトのリニューアルを検討をしている企業にとって、ECサイトの構築方法は頭を悩ませる問題の一つです。今回は、構築方法の一つであるECサイトのオープンソースについて、おすすめサービスから、オープンソースを利用するメリット・デメリットまでを徹底解説いたします。
この記事を読んで分かること
・ECサイトの構築方法
・ECサイトのオープンソースおすすめ3選
・ECサイトのオープンソース利用に向いている企業
・ECサイトのオープンソース利用のメリットと注意点
EC事業を新しく立ち上げる方は以下の記事もご参考にしてください。
≫≫EC事業の立ち上げかたとは?市場規模からサイト構築方法までを徹底解説
≫≫ECサイトに必要な機能とは?導入しておきたい便利な機能も紹介
オープンソースとは、ソフトウェアのソースコードが一般に公開されていて、誰でもそのコードを自由に使用、改良、配布できる仕組みのことを指します。そのため、プログラミング技術があればオープンソースを利用して、スピーディーに製品や サービスを開発・リリースすることができます。また、広く一般に認知されているオープンソースであれば、ユーザー同士で新しいナレッジやおすすめの使い方などをシェアするコミュニティも存在します。
ECサイトを立ち上げるためのオープンソースも、特徴や利便性が異なる幅広いものが提供されており、自社のビジネスに合わせ選択が可能です。オープンソースの利用は、無料でカスタマイズ性が高いというメリットがある一方、セキュリティリスクへの対策や専門的な開発技術を要するため、自社の状況を踏まえた意思決定が必要です。
ECサイトを構築する方法には大きく分けて以下の4つがあります。それぞれの特徴を理解することで、自社に合ったアプローチを選択することができます。
最も自由度が高く、自社でカスタマイズできる点が魅力です。Web制作の知見やシステム開発のリソースを持っている企業におすすめです。
ECサイトの規模拡大に応じて新たに必要となる機能を追加することができ、拡張性の高い、ECサイト運営が可能です。コストに関しては、ドメイン代、サーバー代、決済手数料に加え、企業によっては、新たにECサイト構築を行う人材のための採用費や人件費が発生します。ほかの構築方法と比べコストパフォーマンスが良いかは必要となる工数や自社の要件を考慮して判断しましょう。
スモールスタートでECサイト運営を始めようとする中小企業におすすめなのが、ASP型のECサイトです。ASPとは「Application Service Provider」の略で、インターネット上で利用できるサービスを指します。ASP型のECサイト構築サービスでは、ECサイト構築に必要な機能が網羅的に低価格で提供されており、サービス上で運営されるECサイトで商品が売れたときに発生する手数料で利益を得ています。そのため、月額費用や初期費用が完全に無料のサービスも存在します。
▽オープンソース型との主な違いは以下です。
・サービス提供側でセキュリティ対策を実施
・手軽でスピーディーにECサイトを開設可能
・オリジナリティが発揮しづらい
・長期的な拡張性が低い
中規模から大規模のECサイトを迅速に立ち上げたい企業におすすめなのがパッケージ型ECサイトです。
パッケージとして提供されるソフトウェアを購入し、ECサイトを構築する方法です。ECサイト運営で必要となる基本的な機能が備わっており、ASP型よりも拡張性が高くサポートが充実している点が特長です。ただし、初期費用が数百万円、月額費用が数十万円と比較的コストが高くなる傾向にあります。また、定期的にシステムのアップデートが必要になる点も認識しておきましょう。パッケージ型のシステムを選択する場合、サービス提供している企業の導入実績や具体的な提案を受けた上で、自社が展開するビジネスに合った機能が備わっているかやサポート体制を比較検討することをおすすめします。
▽オープンソース型との主な違いは以下の3点です。
・手厚いサポートが受けられる
・比較的コストが高くなる
・セキュリティが強固
フルスクラッチとは自社で一から要件定義し、システム開発を行う構築方法を指します。ECサイトの構築方法の中で最も時間と開発リソースが必要なため、この方法でECサイトを構築する企業はそれほど多くありません。フルスクラッチ型でECサイトを構築した例として、ZOZOTOWNやユニクロが挙げられます。フルスクラッチ型でECサイトを構築するためには、ある程度既存のEC事業が拡大し、資金面や体制面の準備が整っている必要があります。そのため、長期的なビジネスロードマップが固まっている企業におすすめの構築方法です。他の3つの構築方法でECサイトを運営するなかで、自社の要件が高度化し、更なる拡張性や競合優位性の発揮が求められるようになった場合の選択肢と言えるでしょう。
▽オープンソース型との主な違いは、以下の3点です。
・時間/開発リソースの確保が必要
・カスタマイズ性が高い
・運用体制が整っていればシステムの改修速度が速い
ここでは、特におすすめのECサイトのオープンソースを3つ紹介します。それぞれのプラットフォームの特徴を、運営例を挙げながら詳しく説明します。
EC-CUBEは、日本国内で非常に人気のあるオープンソースのECプラットフォームです。稼働店舗数は約3,5000以上と、さまざまな業界で利用されているため、豊富な導入実績があります。EC運営の規模が拡大しても、プラグインを追加することで必要となった機能を手軽に実装可能です。マニュアルや開発コミュニティも整備されており、サービス利用の際の疑問解消に役立つ体制も整っています。
●運営会社:株式会社イーシーキューブ
●サイトURL:https://www.ec-cube.net/
Adobe Commerce(旧Magento)は、世界No.1シェアを誇るオープンソースのECシステムです。特徴は、ドラッグ&ドロップの直感的な操作によりECサイトをノーコードで構築する環境が用意されている点です。越境ECを展開している企業にとっては、ローカライズや複数言語対応が可能で各国の商習慣に合わせたEC運営を実現できます。また、AI(人口知能)を活用した機能も搭載されており、顧客に合わせた最適な購買体験を提供することができます。ただし、海外のオープンソースのため日本語での情報が限られており、利用の難易度は日本国内のオープンソースと比較すると高くなっています。
●運営会社:アドビ株式会社
●サイトURL:https://business.adobe.com/jp/products/magento/magento-commerce.html
Welcartは世界で最もシェアの高いCMSであるWordPressをベースにしたオープンソースのECサイト構築プラグインです。WordPressの強力なCMS(コンテンツ管理システム)機能を活かせるため、ブログとの連携が容易でSEOに強いECサイトを構築できます。日本企業が展開しているサービスのためマニュアルが充実しておりサポートも安心して利用できます。設置・管理が非常に簡単で、初心者にも扱いやすいため、中小企業や個人事業主の利用に適しています。
●運営会社:株式会社Welcart
●サイトURL:https://www.welcart.com/
オープンソースでECサイトを構築するメリットは以下です。
オープンソースでECサイトを構築する大きな利点は、カスタマイズの自由度にあります。公開されたソースコードを利用して、自社のニーズに応じたデザインや機能を柔軟に取り入れることができます。競合との差別化を図るために欠かせない独自のビジネスモデルに沿った機能やインターフェースの追加も簡単に行え、ECサイトで自社独自のユーザー体験の提供が可能です。
オープンソースの利用により、ECサイト構築の初期コストを大幅に削減できます。ソフトウェアが無料で提供されるため、ECサイト立ち上げのハードルは低いです。
また、さまざまな機能に対応したプラグインが提供されており、EC事業の拡大に合わせて、低予算でECサイトの拡張も可能です。
新機能の追加や既存機能の改良を容易に行え、変化する市場ニーズにも即応できます。プラグインやモジュールを自由に追加することで、顧客管理、在庫管理、マーケティングの機能などを自在に組み込むことが可能です。スケーラブルなインフラを整えることで、サイトへのトラフィック(アクセス数)増にもスムーズに対応でき、長期的なビジネス成長をサポートする基盤を築けます。
オープンソースのECプラットフォームは、活発なコミュニティを利用できることもメリットです。コミュニティでは、利用者間で情報交換が行われ、ソフトウェアの機能改善やバグ修正、新機能の追加に貢献しています。他のユーザーからの体験談やアドバイスにより、導入時の疑問や課題をスピーディに解消できる点も安定したECサイト運営に役立ちます。
オープンソースでECサイトを構築するにあたって、いくつかの注意点があります。
オープンソースでECサイトを構築する際は、プログラミングやサーバー管理のスキルを持つ人材が必要です。システム開発を外部に委託する場合でも、緊急のトラブルに迅速に対応できる社内体制を整えておく必要があります。
オープンソースECサイトの運営には、定期的なメンテナンスが避けられません。システムの更新やバグ修正、新機能の追加は基本的に自社で行う必要があり、時間とリソースを必要とします。頻繁なバージョンアップに対処するため、継続的な対応が求められ、他の業務に影響を与えることも考えられます。
オープンソースのECサイトを使用するには、セキュリティリスクへの注意が欠かせません。ソースコードが公開されているため、脆弱性が見つかると攻撃の危険性が増します。セキュリティパッチの迅速な適用やネットワーク監視の強化は必須です。顧客情報の保護にも細心の注意が必要で、定期的なセキュリティチェックや専門家による監査を通して安全性を確保することが重要です。
≫≫ECサイトのセキュリティ対策で重要な5つの要素と注意点を徹底解説
今回はオープンソースを活用したECサイトの構築についてご紹介しましたが、構築後に直面する典型的な課題として、コンバージョン率(CVR)の伸び悩みや離脱率の低下が挙げられます。これらの課題を克服するために、サイト内検索ツールの導入をぜひご検討ください。
≫≫サイト内検索とは?3つのやり方・導入方法から活用事例までを解説
サイト内検索ツールは、商品データベースと連動し、ユーザーが入力した検索キーワードに基づいて関連商品を表示します。また、検索キーワードの表記ゆれにも対応し、検索結果が0件になる状況を減少させることができます。これにより、ユーザーがストレスなく商品を見つけられるようになり、顧客体験が大幅に向上します。ユーザーの離脱による機会損失を無くし、リピーターの増加やユーザーあたりの購入単価の向上が期待できます。
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GENIEE SEARCH編集部
(X:@BST_hoshiko)
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