昨今、ECサイトの立ち上げを行う企業や個人事業主が増加しています。しかし、すべての担当者や事業主がECサイトに必要な機能について十分な知識を持っているとは限りません。
「ECサイトの構築でどんな機能を入れると売上が向上するのか」
「既存のECサイトの改善をしたい」
「ECサイトの機能について詳しく知りたい」
サイトの立ち上げにおいて、このような悩みを抱えている担当者も少なくありません。
そこで、この記事ではECサイトに必要な機能と導入しておきたい便利な機能を紹介していきます。ぜひ最後までご覧いただき、自社のECサイト運営の参考にしてください。
ECサイトとは、Web上で商品やサービスの購入や販売など電子商取引(Electronic Commerce)ができるすべてのWebサイトの総称です。
ECサイトは、大きく分けると7つの種類があります。
◾️|自社ECサイト:自社のオリジナルECサイト
◾️|モール型ECサイト:Web型のショッピングモール
◾️|BtoB型ECサイト:対企業向けのECサイト
◾️|BtoC型ECサイト:対消費者向けのECサイト
◾️|DtoC型ECサイト:メーカーが直接顧客に販売するサイト
◾️|越境型ECサイト:海外向けの国内ECサイト
ECサイトの種類や基礎的な内容については、以下の記事にて詳しく解説していますので参考にしてみてください。
≫≫ ECサイトとは?基礎から学ぶ運営方法・種類・必要な機能を解説
ECサイトに必要な機能はユーザ側(フロントエンド)と管理者側(バックエンド)に分かれています。フロントエンドの機能は、さまざまな目的を持ってECサイトを訪れるユーザが利用するため、わかりやすく使いやすいことが求められます。
一方、バックエンドの機能は、顧客情報の管理や商品の受注〜配送などの業務を正確かつスピーディーに対応するためのものです。
この章では、フロントエンドの機能を以下の順で紹介していきます。
ECサイトで必要な機能のひとつが、ユーザ登録とログイン機能です。「アカウント登録」とも呼ばれ、顧客に自社ECサイトの会員になってもらうための大切な機能です。
会員登録してもらうことで、自社商品を繰り返し購入してもらえる可能性が高くなります。
また、ログイン機能では自社のECサイトからのログインはもちろん、TwitterやInstagramなどのSNSとの連携が可能な「ソーシャルログイン機能」を備えることも重要です。
マイページ機能は、ECサイトに登録したユーザ自身の情報などを管理できる機能です。商品の閲覧履歴や購入履歴の確認や配送先の変更などができます。購入履歴から同じ商品を再購入できるような動線を作ることで、リピート購入の促進も可能です。
一般的にサイト内検索とは、商品の名前や関連するキーワードを検索窓に入力することで商品を探せる機能です。サイト内検索にはキーワードによる検索のほかにもさまざまな機能があります。画像付きサジェストや絞り込み検索を導入することでユーザビリティを向上させることができます。
画像付きサジェストとは、ユーザが検索窓にキーワードを入力する際に、候補となるキーワードと商品画像を予測表示し、ユーザの入力の手間を省く機能です。
通常のサジェスト機能ではキーワードのみが表示されるのに対し、画像付きサジェストではキーワードの候補と商品画像が表示されるため、ユーザから目的の商品が視覚的に見つかりやすく、ECサイトにとって相性の良い機能です。
絞り込み検索は、ユーザがジャンルや価格、サイズなどの細かな条件を設定し、より効率的に目的の商品を探せる機能です。
膨大な数の商品を取り扱っているECサイトで、複雑なメニューやカテゴリをたどる必要なく、目的の商品にたどり着くことができるため、ユーザリティの向上が期待できます。
詳しくは以下の記事で分かりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。
≫≫ サイト内検索とは?3つのやり方・導入方法から活用事例までを解説
≫≫ 商品検索の絞り込み機能を実装してECサイトのCVRを改善
カート機能とは、購入する商品を決済前に買い物カゴに入れておける機能です。例えば、Amazonなどで複数の商品を購入する際、決済前の商品の置き場所である「カート」がこの機能に該当します。
カート機能に関係する指標としてカゴ落ち率があります。カゴ落ちとは、ECサイトで商品をカートに追加した後、最終的に購入手続きを完了せずにサイトを離れることを指します。
このECサイトに訪問するユーザの総数に対して、カゴ落ちしたユーザ数が占める割合をカゴ落ち率と呼びます。
カゴ落ち率は以下の計算式で数値を出すことができます。
カゴ落ちしたユーザ数÷サイトに訪問したユーザの総数=カゴ落ち率
Baymard Instituteが調査したデータによると世界のECサイトのカゴ落ち率の平均値は「70.19%(2023年7月21日時点)」というデータが出ています。カゴ落ち率を放置していると、売上に影響する指標であるため、カゴ落ち率は注視しておく指標になります。
≫≫ ECマーケティングとマーケティングの違いとは?戦略で押さえるべきポイントを解説
コメント・レビュー機能は名前の通り商品購入後に、ユーザが商品の感想などを投稿できる機能です。ECサイトを運営するのであれば、コメント・レビュー機能は重要です。
ユーザがECサイトで商品を購入する際の不安の一つが、商品を手にとって確認することができない点です。この不安を解消するため、ECサイト側はユーザの購入を後押しする材料を提示する必要があります。
過去に商品を購入したユーザのコメントやレビューを集め提供する機能を用意することで、ユーザは実際の購入者のリアルなコメントを確認し安心して購入することができます。
支払・決済機能は、ユーザが支払に必要な決済方法を選択して、そのまま決済までの行動に移せるように設定された機能です。決済の主な種類は以下があげられます。
◾️|クレジットカード決済
◾️|バーコード決済
◾️|ID決済
◾️|ICカード決済
◾️|銀行振込
◾️|コンビニ決済
◾️|代金引換
決済の種類が豊富にあることで、ユーザの決済時の離脱を防ぐことができます。
≫≫ ECサイトの成功を支える9つの決済サービス!選び方と導入メリットを解説
問い合わせ機能は、ユーザがECサイトの管理側へ直接問い合わせできる機能です。ユーザの不安や疑問に対し、適切に解決することでユーザの満足度を高め、リピートへつなげることできます。
次に、管理側(バックエンド)に必要な機能を紹介していきます。
管理をするための機能というと一見地味ですがとても大切な機能です。
バックエンドの機能で必要なもののひとつが顧客管理機能です。ユーザの氏名や住所などの個人情報のほか、購入履歴や利用頻度などを管理できる機能です。
ECサイトによっては、利用頻度に応じた会員ランクの設置や、ユーザの傾向に合わせた商品のレコメンドなどとの連携も効果的です。
次に商品管理と在庫管理機能です。商品管理とは、ECサイトの商品情報を管理することを指します。具体的には、商品の名前や画像、売価設定や商品の詳細情報などを管理します。季節や売上傾向により商品情報の更新が可能です。
在庫管理は受注に対し在庫の過不足を管理する機能です。売上予測と実績に対する在庫状況を踏まえて、商品の仕入れ調整を行いやすくする機能です。
受発注管理機能は、購入された商品に対して、受注処理と発送の指示ができる機能です。注文を受けた際に、ユーザに受注の通知と発送に関するメール配信を行います。
ECサイトによっては、配送状況を細かく知らせる場合もあります。
受発注管理機能があることで、配送時のトラブルや遅延をすぐに把握し対応できるため、顧客の満足度向上につながります。
売上管理機能は、自社のECサイトの売上を一括で管理するための機能です。
売上の金額はもちろんのこと、どんな商品が売れているのかなどの傾向も確認することができ、今後の販売戦略のための分析に活用できます。
セキュリティ機能はECサイトにおいてとても大切なものです。顧客の個人情報を含むさまざまな情報を外部に漏洩しないようにするために、セキュリティ対策は必須です。
ECサイトのセキュリティに関しての詳しい内容は、以下の記事で紹介していますので参考にしてみてください。
≫≫ ECサイトのセキュリティ対策で重要な5つの要素と注意点を徹底解説
問い合わせ・レビュー機能はユーザの疑問やクレームなどの問い合わせを管理する機能です。問い合わせ・レビュー機能による即時対応で、ユーザの不満を軽減することができます。
ここまでは、ユーザと管理者それぞれに必要な機能を紹介してきました。どの機能も、ECサイトの運営に欠かせないものです。
特にサイト内検索の最適化はECサイト全体のユーザビリティを大きく改善することができる機能であるため実施しておくことをおすすめします。
ここからは、ECサイトに取り入れると、さらに便利になるおすすめの機能を紹介していきます。
≫≫【2024年最新】サイト内検索ツールおすすめ10選を徹底比較!成功事例から学ぶ選び方
便利な機能のひとつが「評価機能」です。ECサイトで販売している商品に対して「口コミ」を投稿できます。今や評価機能はECサイトに欠かせないものとなってきています。
評価機能は、SEO対策への効果が期待できます。現在、掲載順位を決める指標としてGoogle独自の「E-E-A-T」という評価基準で決まります。
E-E-A-Tとは、以下の頭文字を取ったものです。
◾️|Experience(経験)
◾️|Expertise(専門性)
◾️|Authoritativeness(権威性)
◾️|Trust(信頼)
実際に商品を使用した口コミは「経験コンテンツ」に該当しGoogleのクローラーに評価されます。
また、ECサイトで販売している商品に対して口コミでポジティブなものが多い場合、「ユーザを満足させることができる商品を多く扱っているECサイト」という評価につながり、権威性や信頼につながります。
評価がつくことで購入を検討している顕在層へのアピールや潜在層への商品の認知度アップにもつながります。
「悪い評価をつけられたらどうしよう」という懸念点もあるでしょう。商品を評価する基準は人それぞれであり、確かに低い評価をつけるユーザもいます。しかし、さまざまな視点から評価された商品は、常に高評価の商品よりもリアリティがあり、信頼度を高めます。
とはいえ、商品自体の評価は高い方が良いため、商品開発力も鍛えておきましょう。
ウィッシュリストも便利な機能のひとつです。ウィッシュリストとは、興味のある商品をブックマークのように保存しておくことができる機能です。ECサイトで目にする「後で見る」に入れる機能が、まさにウィッシュリストです。
ウィッシュリストには、管理者側にとってもさまざまなメリットがあります。
◾️|データを活用してトレンドを把握できる
◾️|キャンペーンを打てる
◾️|在庫管理に役立つことも
◾️|間接的なトラフィック誘導ができる
ユーザが保存したウィッシュリストのデータは、顧客インサイトを引き出すための分析に活用できます。インサイトとはユーザ自身も気づいていない本音の部分をいいます。
ウィッシュリストのデータをもとに、効果的にキャンペーンを打ち出し、商品訴求を行うことが可能です。
また、ウィッシュリストに入った在庫切れの商品に対して、商品入荷時に通知を行い購入行動を促すことができます。
ウィッシュリストは共有機能も備えているため、ユーザとつながる新規顧客の獲得にもつながります。
次にお得なクーポンや割引機能もおすすめです。クーポンや割引機能の活用目的として以下があげられます。
◾️|新規顧客の獲得と販促
◾️|既存ユーザのリピート
◾️|売り切りたい商品対策
◾️|アップセルやクロスセル
◾️|かご落ち対策
クーポンや割引機能の大きな目的は新規顧客の獲得です。ほかにも既存ユーザのリピート施策や、在庫の売り切りなどにも有効です。
また、目当ての商品とあわせて別の商品の購入をすすめるためのクロスセルや、上位価格の商品とあわせて購入してもらうためのアップセルを目的としています。
レコメンド機能の実装もおすすめです。
レコメンドとは、おすすめするという意味です。ECサイトで購入や商品閲覧を行なった際に、「あなたにおすすめ」という表示で商品が表示されたことはないでしょうか?それがレコメンド機能です。
レコメンド機能を導入することで、リピート率や購入単価の向上が期待できます。
SNS連携・シェア機能も導入を検討してみましょう。ECサイト運営において、SNS連携やシェアには以下のようなメリットがあります。
◾️|情報発信がしやすい
◾️|SNSからのトラフィックが生まれる
◾️|拡散が期待できる
SNSの普及に伴い、SNSによる情報拡散が多くのトラフィックにつながるようになりました。マーケティング手法でULSSAS(ウルサス)が提唱された通り、SNSの活用はECサイトの売上をあげるために必要不可欠となっています。
◾️|U:UGC(広告や投稿コンテンツにより商品を認知)
◾️|L:Like(広告や投稿コンテンツにいいねを押す)
◾️|S:Search1(SNSで認知した商品を検索)
◾️|S:Search2(GoogleやYahoo!など認知した商品を検索)
◾️|A:Action(購買)
◾️|S:Spread(SNSなどで拡散)
多くの若者はECサイトで購入した商品をSNS上で口コミを行い、その口コミに対してフォロワーがいいねやリツイートを繰り返すことで情報が拡散されます。
SNS連携を強化することで、企業が宣伝するのではなく、購入者自らの情報拡散を促すことができます。広告費用の削減につながるためSNS連携シェア機能は費用対効果の高い機能といえます。
バーチャル試着機能とは、実店舗に行かなくてもデバイス上で服を試着できる機能です。2023年6月にはGoogleが試着機能「Virtual try-on(VTO)」の公開を発表しました。(現在アメリカ国内のみ)
バーチャル試着機能は管理者側とユーザ側両方にとってメリットがあります。
【管理者】
◾️|売上向上が見込める
◾️|実店舗のコストダウン
【ユーザ】
◾️|在宅で試着できる
◾️|試着時間の削減
ユーザ側の試着における「手間」と「時間」の削減により、商品購入へのハードルが下がることで売上の向上につながります。
また、接客コストや試着室の設置数の削減が見込めるため、実店舗のコストダウンにもつながります。
この記事ではECサイトに必要な機能について解説しました。
基本的な機能の知識を活かし、自社ECサイトにとって必要な機能を選び活用してみてください。
また、ECサイトに重要な機能であるサイト内検索に関しては、オススメ記事を厳選しているので以下の記事を参考にしてください。
GENIEE SEARCH編集部
(X:@BST_hoshiko)
ECサイトや企業サイトにおける快適なユーザ体験を実現するための導線改善方法から、ECマーケティングの手法まで幅広く情報を発信しています。