国内におけるECサイト市場は増加傾向にあります。要因のひとつが個人のインターネット需要が伸びたことです。
2022年、総務省が公表した調査レポート「令和3年通信利用動向調査」では、13歳〜59歳までの各年齢層全体で83%以上の方がインターネットを利用しています。さらにスマートフォンの保有率も74.3%となっています。利用目的・用途では、50%以上がネットショッピングとなっています。
ECサイトで売上を伸ばすために重要な要素のひとつが「集客」です。ネット上で集客をするためには、SEOが欠かせません。ECサイトのSEOには、商品ページのコンテンツ対策や内部・外部対策が重要です。
しかし、SEOの十分な知識と経験を持つ企業ばかりではないため、多くの企業でSEO施策の実施が課題となっています。
この記事では、ECサイトの集客に重要なSEOの対策方法やNGポイントを解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
SEOとは”Search Engine Optimization”の略語で「検索エンジン最適化」と訳すことができます。
GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおける集客施策のひとつで、ユーザが検索したキーワードに対し、自社ECサイトのコンテンツが上位表示されるようにする一連の施策を指します。
上位表示とは、検索結果の1ページ目に自社ECサイトが掲載されることを指します。1ページ目には基本的に10サイト分のピックアップページが表示されますが、SEOでは多くの場合、自社ECサイトが最も上位に表示されることを目標とします。
SEO対策では以下の2つが重要項目です。
◼️|Googleが掲げる10の事実
◼️|E-E-A-T
「Googleが掲げる10の事実」には、Googleが策定したSEOの本質が示されています。どのような仕組みで検索結果の上位に表示されるのかを言語化した検索エンジンにおけるアルゴリズムの基本的な考え方となっています。
【Googleが掲げる10の事実】
「E-E-A-T」とは、以下の4項目の頭文字からなる質の高いコンテンツを評価するための基準です。Googleが独自に策定し、SEOにおいて重要な指標となっています。
◼️|Experience/経験
◼️|Expertise/専門性
◼️|Authoritativeness/権威性
◼️|Trustworthiness/信頼性
詳細:品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加
ECサイトではSEO対策が重要とよく耳にします。この章では、ECサイトでSEO対策がなぜ重要なのか、その理由をわかりやすく解説していきます。
≫≫【EC担当者必見】ECサイトの売上を上げるための販促施策10選を紹介
ECサイトのSEO対策を行なうことで、自然検索によるユーザの流入数(トラフィック)が増加します。流入数とは実店舗でいえば訪問客数です。
2021年にSEOクラリティが公開したデータによると、日本のSEO検索上位におけるクリック率では、1位が13.94%、10位が1.32%と約10倍もの差がつくことがわかっています。
画像引用:SEOクラリティ
SEO対策をすることで、検索結果1位を獲得すれば、トラフィックが増加します。また、比例してクリック率(CTR)も上がり、コンバージョンにもつながります。
SEOはブランド認知にもつながります。ECサイトが上位表示されると、多くのユーザに見つけてもらえるため、ブランドの認知が向上します。
ブランドでは認知を広げて価値を向上させるイメージ戦略が重要です。そのためSEOで認知度が上がれば、自社ブランドの名前で検索され集客につながる可能性が高くなります。
SEOはWeb広告と比べて費用対効果が高いです。少ない予算で取り組め、自社の人材だけでも運用ができます。
また、効果のあった施策や失敗をノウハウとして積み重ね、社内で共有していくことで、会社の資産にもなります。
この章では、より具体的にECサイトにおける5つのSEO対策について解説していきます。
SEOの基本は「キーワード選定」です。ユーザはキーワードをもとに検索します。そのため、多くのユーザが検索する可能性のあるキーワードを洗い出し、SEO対策を行います。
キーワードの選定には以下のようなポイントがあります。
◼️|検索ボリュームの多いキーワード
◼️|ロングテールキーワード
◼️|共起語
検索ボリュームが大きいキーワードは集客が見込めるキーワードです。競合は多くなりますが上位表示されれば多くのトラフィックとコンバージョンが見込めます。
一方で、ロングテールキーワードは検索ボリュームが100〜1000未満のものを指します。主に単体ではなく複数のキーワードの組み合わせでできています。
ロングテールキーワードと同様、単体ではなく2単語で選定されることが多いです。共起語とは、選定キーワードと共に検索されることの多いキーワードです。
クローラビリティ対策とは、検索エンジンのプログラムであるロボット(クローラ)に自社ECサイトを認識させるための対策です。
クローラは、世界中のWebサイトから検索されたキーワードに対して適切なページを検索結果に表示する役割を担っています。言い方を変えれば、検索結果の上位に表示するWebサイトを決めているロボットです。
クローラビリティの具体的な対策は以下があげられます。
◼️|XMLサイトマップの作成
◼️|適切な内部リンクの設定
◼️|robots.txtによるクロール拒否設定
◼️|Googleサーチコンソールからクロールを申請
SEOにとってコンテンツの品質は重要です。質の高いコンテンツとは以下のようなものを指します。
◼️|オリジナリティ
◼️|ユーザの課題解決ができる
◼️|読みやすいコンテンツ
◼️|E-E-A-Tのあるコンテンツ
ECサイトのコンテンツは、商品説明やカテゴリの詳細な説明、メタタグ、見出しタグなどのコンテンツを最適化する必要があります。キーワードの適切な配置や読みやすさにも配慮して、検索エンジンがコンテンツを正しく評価できるように上記の項目を意識して対策を行いましょう。
ページ速度の最適化もSEO対策には欠かせません。Amazonの元エンジニア、グレッグ・リンデン氏が公表したデータによると、「ECサイトにおいて表示が0.1秒遅れると、売上が1%減少する」と公表しています。また、ピングダムが行った調査では、読み込み時間が3秒を超えるとページビュー数が下がり、直帰率が急増するということから、ページ速度の最適化は重要となります。
また、近年ではスマートフォンの普及により、ECサイトをモバイルで閲覧することが一般的になりました。そのため「モバイルフレンドリー設計」であるかどうかが上位表示される判断基準にもなっています。パソコンはもちろん、スマートフォンでのページ速度の最適化も対策を行いましょう。
自社ECサイトのページ表示速度を測りたい場合は、「PageSpeed Insights」を使用すると計測ができますので確認してみてください。
≫≫ サイト内検索でスマホECサイトの購入売上を改善する方法
SEOで上位表示させるために必要なのが「被リンク」です。被リンクとは、外部サイトに自社サイトへのリンクが貼り付けられることを指します。
被リンクされるということは、外部からみて自社サイトの質が高いことを表し、検索エンジンからの信頼性や評価を高めることができます。
被リンクを獲得するためには以下のような施策が必要です。
◼️|質の高いコンテンツ作成
◼️|自社サイトの拡散
◼️|シェアボタンの設置
◼️|無料ツールなどの提供
◼️|調査データの記事を作る
総じて、外部サイトにとっても役に立つコンテンツにすることが大切です。他社からみて紹介したくなるような質の高いコンテンツを目指しましょう。
ECサイトのSEO対策には、やってはいけない注意点もあります。ここでは絶対に行ってはいけないNGポイントを紹介します。
被リンクは質の良いコンテンツでは効果を発揮しますが、意図的に被リンクを増やす行為や、過剰に設置することは基本的に禁止されています。
被リンクには質の低いものがあり、検索順位を無理にあげることを目的として使われているケースがあります。その場合、Googleから不正と判断され、検索順位は上がりません。
キーワードの多量使用もSEOに逆効果です。
具体的には、コンテンツ内に関連のないキーワードを無理やり入れ込むパターンです。
また、関連キーワードをコンテンツに入れ込み過ぎるのも同様で、理想は1ページに入れこむキーワードは最大5つまでとされています。適切なSEO対策を行いましょう。
この記事では、ECサイトの集客に必要なSEOについて解説しました。SEOはコストパフォーマンスのよい集客方法です。集客までに時間がかかりますが、継続することで長期的に成果を得られ会社の資産になります。
短期的な集客にはWeb広告を、長期的な集客にはSEOというイメージで施策を行なうと良いでしょう。
また、ECサイトに集客できた後はECサイトのユーザビリティを向上させることが大切です。ユーザビリティに関連する機能としてはサイト内検索があげられます。合わせてこちらもご確認ください。
≫≫ サイト内検索とは?3つのやり方・導入方法から活用事例までを解説
GENIEE SEARCH編集部
(X:@BST_hoshiko)
ECサイトや企業サイトにおける快適なユーザ体験を実現するための導線改善方法から、ECマーケティングの手法まで幅広く情報を発信しています。