ECマーケティングにはさまざまな広告手法が存在しています。運用するECサイトが取り扱う商材、戦略に応じて適切な選択をしなければいけません。
本記事では、ECサイトにとって効果的な7つの広告手法について、それぞれの特徴を解説していきます。
各事業者のフェーズに合わせてどのような広告手法が適しているのか、さらにそれぞれのメリット・デメリットについても理解出来る内容となっています。一読いただければ、運用するECサイトに最も適した広告が見つかるはずですので、ぜひ最後までご覧ください。
ショッピング広告とは、Googleなどにおいてキーワード検索時に結果表示画面の上部に表示される広告です。
ショッピング広告には、有料掲載枠と無料掲載枠が用意されています。上記画像の赤枠に表示されている商品一覧が有料のショッピング広告です。クリックされることで課金される仕組みとなっています。
赤枠の上にある「ショッピング」のボタンをクリックすると、ショッピング広告で掲載されている商品が表示されます。その中の2段目が無料掲載枠となっています。
画像の表示などで目を引き、それぞれのECサイトへ誘導するリンクを設置できるため、多くのユーザに認知してもらいたい商品やサイト掲載に効果があると考えられています。
小規模事業者や、広告を初めて出稿する場合にはおすすめな広告手法です。
ショッピング広告の有料掲載では、リスティング広告と違い、検索結果画面に商品画像を表示させることができるため視覚的な訴求ができます。
検索行動に対して出稿する広告は、興味関心度が高いユーザが流入する傾向にあるため、SEO等の工夫や時間を必要とせず検索結果の上位に表示させられる点は大きなメリットです。
また、2020年10月から無料掲載枠が用意されました。商品の属性やカテゴリ、キーワードに基づいて商品広告が表示されるため、無料で認知度を向上させることができる点もメリットです。
商品フィードの作成に手間がかかるため、広告運用開始までにかなりの時間を要する場合があります。また、検索キーワードに対する入札を細かく指定できません。
そのため、表示させたくないキーワード等がある場合は、除外キーワードの設定なども行う必要があります。
リスティング広告とは、Google等の検索エンジンを利用して、ユーザが入力したキーワードに応じた広告を表示させる広告手法です。
ユーザが検索エンジンでキーワードを入力すると、そのキーワードに関連した広告文が検索結果ページの上部に表示されます。
リスティング広告はSEOの影響を受けること無く、検索結果の上位に表示できるため、興味関心が高いユーザを獲得する確率が高くなります。
ユーザが検索したキーワードに沿った内容であるため、ユーザの興味関心にマッチしたアピールが可能です。表示する広告文、費用の設定なども細かく指定できるため、広告に慣れていない運用者でも比較的手軽に始められます。
顕在顧客を集客したいと考えている場合には、まずはリスティング広告を始めてみることをおすすめします。
一番のメリットはSEOの結果に関係なく上位表示させられる点です。
seoClarityの検索順位別のクリック率のデータを見ると、検索順位が1位の場合は13.94%のクリック率があるのに対し、5位では2.98%と急激に低下することがわかっています。
このことから、検索結果の上位表示をさせて自社ECサイトに流入させるためにSEO施策を講じるのですが、リスティング広告の場合は上位表示画面に広告の掲載枠が用意されているため、検索結果の目につきやすい位置で表示させることができます。
SEO対策の手間を必要とせずに上位表示させることができるため、多くのユーザを流入させることができます。
高い効果が期待できる反面、継続的な運用費用が発生します。
リスティング広告はクリック課金型であるため、見込み顧客ではないユーザに広告が表示されクリックされてしまうと無駄に費用が発生してしまいます。そのため無駄なクリックを発生させないためにキーワードの除外(特定の語句を含む検索に対して広告が表示されないようにする)設定でターゲット外のユーザへの表示を防止するなど日々のモニタリングが必要となります。
また、ECサイトは競合が多いため上位表示させるための入札戦略に負けてしまい、広告が上位表示されない場合もあります。その場合は、各キーワードの予算を上げるなどの工夫が必要となりますが、結果的に広告費用が増えてしまい、費用対効果が合わないなどのケースが発生していしてしまいます。
ディスプレイ広告とは、Webサイトやモバイルアプリに用意されている広告表示枠にあらかじめ設定している広告バナーを表示させる広告です。
一般的に、テキスト、画像、動画、バナー広告などのメディア要素を組み合わせて広告が作成され、ユーザがWebサイトやアプリを閲覧している際に表示されます。
ディスプレイ広告は、リスティング広告とは違い、視覚的な訴求ができます。
リスティング広告の場合は、事前に広告文を作成してテキストの広告文を表示させます。テキスト形式の訴求よりも画像を使用したバナーの方が目に留まる率は高いため、視覚的な訴求ができるディスプレイ広告は認知度を高めるには効果的な広告手法になります。
今後リピーターとなりうる潜在顧客に対して、幅広くアプローチできることが最大の特徴のため、認知度を高めたいと考えている場合におすすめです。
テキストだけではなく、画像や動画を組み込んだ表現が可能なため発信できる情報量が多くなります。視覚的効果をちりばめた広告で容易に幅広い層へのアプローチが可能です。
また今後の売上につながる潜在顧客へも表示できますので、長期的な施策としても有効だと考えられます。
不特定多数に表示させることから、コンバージョンに直結しづらい広告です。そのため、すぐに売上に直結するユーザを獲得したい場合には不向きです。
また、効果が出るバナーの作成などの工数もかかるため、広告を出稿する目的を明確にしたうえでディスプレイ広告は活用することが大切です。
画像引用元:Ads & Commerce Blog
P-MAX キャンペーンとは、2021年にスタートした新しいGoogle広告であり、Googleが関連する全ての広告枠に対して、広告を配信できます。
P-MAXキャンペーンは、1つの配信でGoogleの全ての広告枠に広告を配信できるサービスです。PMAXキャンペーンは、目標設定、予算、広告の内容を設定するだけで配信可能となるため、運用者の熟練度を問いません。機械学習によって広告内容が最適化されていくことから、「次世代の広告」とも呼ばれています。
運用コストをおさえて、効率的にユーザを獲得したい場合はPMAXキャンペーンを活用することをおすすめします。
PMAXキャンペーンは、Googleが提供している複数のサービス(YouTube,Gmail,検索画面など)に対して広告を一つの設定で配信できるため運用コストを最小限に抑え広告を配信することができます。
ユーザは検索結果ページで広告を見た後、YouTubeやディスプレイ広告でも同じ広告に再び接触することがあります。これにより、ユーザにより強く印象付けることができます。
自動的に配信が最適化される一方、人の手による微調整が難しくなっています。また、配信結果の効果がわかりにくい場合や、特定のユーザに絞った配信などにも対応していません。
画像引用元:Meta for Business
Facebook広告とは、その名の通り人気SNSサービスであるFacebookやInstagram上に掲載される広告です。
Facebook広告は主にフィード面、ストーリーズなどにおいて配信されますが、特筆すべきポイントはユーザ層への訴求力です。
Facebookは登録時、本名、地域、年齢、性別といった個人情報を入力します。この個人情報には本人確認が必要であるため、かなり正確な情報をFacebookは保有しています。そのデータを利用することができるため、的確なターゲットに対して広告を配信できます。
FacebookやSNS媒体は、若年層が利用するケースが多いため、若年層をターゲットにした商品を販売している場合におすすめです。
正確なユーザ層に対して、的確な広告をピンポイントで表示できる点は、Facebook広告最大のメリットです。商品認知の段階から購入まで、あらゆる範囲において高い効果を発揮します。
広告フォーマットについても最適化されたベースが多数存在していますので、写真や動画、スライドショーといった幅広い内容から適切なものが選択できます。
Facebook広告はインプレッション課金型の広告であるため、ターゲット設定を間違えて設定すると、見込み客ではない顧客に対して広告が表示されてしまい、無駄に費用が発生してしまう可能性があります。
また、個人情報保護の観点からサードパーティクッキーが使用できなくなり、ファーストパーティクッキーでできるだけターゲティング精度を落とさないように設定をする必要があるなど、細かな運用知識が必要となります。
アフィリエイト広告とは、広告主側がアフィリエイトパートナー(ブロガーやWebサイト運営者など)と提携し、広告主の商品やサービスを紹介してもらい、購入などが発生した場合にアフィリエイトパートナーに報酬を渡す仕組みです。
閲覧したユーザがクリックし、商品の購入やサービスの契約を交わした時点で、初めて広告料金が発生します。
基本的にはASP(affiliate service provider)会社などと契約し、販売したい製品を通じて宣伝してもらいます。アフィリエイト広告経由で商品が購入されると、広告主はASP会社に費用を支払い、ASP会社がアフィリエイトパートナーに費用を支払う仕組みとなっています。
初期費用をそこまでかけられないなどの小規模事業者におすすめです。
アフィリエイト広告は掲載に費用は発生せず、商品購入で初めて広告費が発生しますので、費用対効果は高いといえます。
また、アフィリエイトパートナーが商品を自ら告知してくれるため、上位表示されて月間のアクセス数が多いブログに掲載されると認知度を高めることができます。
アフィリエイトパートナーが豊富なコンテンツや情報を提供してくれるため、ユーザの関心を引きつけ、商品やサービスの販売促進にも効果的です。
どのような媒体にアフィリエイト広告が掲載されているのか、そもそも掲載されるのかなどの保証はありません。成果報酬の金額が高ければ掲載される可能性は高くなることから、成果報酬を高めに設定しすぎてしまい、結果的に費用対効果が合わないといった可能性もあります。
また、アフィリエイトパートナーが誤った紹介を行っていたために、購入時にトラブルが発生するなどのケースもあるため、商品やサービスの説明は詳細に記載することが大切です。
リマーケティング広告とは、自社ECサイトを訪れたことのあるユーザに対して、クッキー情報を追跡し、広告表示枠に設定したバナーを表示させる広告手法です。
リマーケティング広告は、一度閲覧したユーザに対して広告を表示させることから、興味関心のあるユーザを獲得できる可能性が高い広告です。
ECサイトを訪れたものの、離脱したり、カゴ落ちなどがあった場合でも、特定の期間はユーザを追跡しECサイトの広告表示枠に商品やサービスのバナーを表示させることができるため、自社ECサイトを思い出してもらう効果が期待できます。
リマーケティング広告は性質上、特定のサイトに訪れた人のクッキー情報を活用して追跡する広告手法であるため、ある程度トラフィックを獲得できているECサイトの場合にはおすすめです。
一度訪れたユーザに表示されるため、見込み客である可能性が高いと考えられます。そのようなユーザに対して直接アプローチできることは、非常に効果的な広告施策です。
全体の傾向としても成約率は高い傾向にありますので、短期間で売上を向上させたい場合などに最適な手段です。
リマーケティング広告は、同じ広告を繰り返し表示することもあり、ユーザが広告に慣れ、興味を失ったり、広告に疲れてしまう可能性があります。広告疲労が起こると、広告のクリック率や効果が低下する場合があります。
また、自社ECサイトで商品が購入された既存ユーザに対しても広告が表示されるため、広告費用が無駄に使用される可能性もあり、広告ブロックにより見込み客にリマーケティング広告が配信されないなどのケースも考えられます。
ECサイトにとって効果のある広告は多数存在しています。そのため、はじめはどれから手を出せばいいか分からないかもしれません。
広告戦略を始める際には、優先順位をつけて費用対効果が高い広告から始めることが大切です。上記で紹介した広告の中で費用対効果が高い広告は以下の3つです。
◾️|ショッピング広告
◾️|リスティング広告
◾️|リマーケティング広告
まずは上記3点を中心に運用しながら、必要に応じてそのほかの広告で補う形での運用をおすすめします。
広告を通じてユーザをECサイトに誘導して終了するのではなく、実際に商品を購入しなければ本来の目的は達成とはいえません。
そのため、ECサイトに集客した後の導線確保が重要です。
ユーザが探している商品を瞬時に検索、提示できるような検索機能の強化はもちろん、検索時のサジェストに画像を表示させるなど直感的な操作性を備えることも効果的です。
これらの施策は、サイト内検索の最適化や画像付きサジェストで対応できますので、広告による集客後に売上を伸ばしていきたいという場合はぜひ確認してください。
≫≫ サイト内検索とは?3つのやり方・導入方法から活用事例までを解説
≫≫ ECサイトの集客は難しい?効果的な5つの方法を徹底解説
ECサイトにおける効果的な広告として、7つの手法についてそれぞれの特徴とメリット・デメリットを解説しました。
広告によってユーザを誘導すること自体が目的ではなく、あくまでECサイトでの購買につなげることが最終的な目標です。
そのためにも、サイト内検索の最適化などによるユーザビリティの高いサイト構築も意識しなければいけません。
新規顧客をリピーターにするためにも、広告とサイト施策を高いレベルで連動させることをおすすめします。
GENIEE SEARCH編集部
(X:@BST_hoshiko)
ECサイトや企業サイトにおける快適なユーザ体験を実現するための導線改善方法から、ECマーケティングの手法まで幅広く情報を発信しています。