ECの市場規模が拡大し、ECサイト運用を行う企業も増加しています。
ECサイトには、時間と場所を問わず商品を販売でき、家賃などの固定費がかからないといったメリットがあります。
本記事では「ECサイトのメリット」をテーマに、詳しく解説します。
本記事を読むことで、ECの概要やECサイトのメリット・デメリット、構築方法についての理解が深まります。
ECサイトのメリットについて知りたい方はぜひご覧ください。
ECはElectronic Commerceの略称で、日本語では電子商取引と訳され、インターネットを通じて商品や物の売買をすることです。具体的には、ネット通販やネットショップを利用した取引がECに該当します。
ここからは、以下について詳しく解説します。
・EC市場は右肩上がり ・ECの歴史から普及した背景 |
EC市場は右肩上がりで拡大し続けています。実際に、経済産業省 商務情報政策局 情報経済課が発表した「令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書」の物販系分野BtoC-EC市場規模によれば、毎年市場が拡大しています。
出展:令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書|経済産業省 商務情報政策局 情報経済課
2022年には約14兆円の市場規模を誇るEC市場ですが、すべての商取引全体に占めるECの割合を示すEC化率は9.13%です。
EC化率も高まりをみせているため、今後さらなるEC市場の拡大が期待できます。
一方、サービス分野のBtoC-EC市場規模は、新型コロナウイルス感染症などの影響により、2020年に市場が縮小しました。
出展:令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書|経済産業省 商務情報政策局 情報経済課
ただし、デジタル分野においては拡大しており、サービス分野も2022年から回復傾向を示しています。サービス分野・デジタル分野は今後の規模拡大が期待でき、魅力的な市場の一つです。
≫≫ 食品ECサイトが抱える3つの課題と成功させるポイントを解説
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ECの誕生にはさまざまな説がありますが、1994年のNet Marketというサイトでの取引やAmazonのサービス開始が始まりといわれています。日本では、1996年に現楽天株式会社の前身であるエム・ディー・エム社がショッピングモール「楽天市場」の運営を開始しました。
1997年には楽天スーパーオークションがはじまり、以下の企業でも通販事業を開始しています。
通販事業を始めている企業 |
◾️|カゴメ ◾️|味の素 ◾️|小林製薬 ◾️|ヨドバシカメラ ◾️|ノジマ など |
1999年にはYahoo!ショッピング・Yahoo!オークションが同時に開始され、2000年にAmazonが日本での書籍販売ECを開始しました。1990年代後半にはパソコンやインフラの整備が進んだことなどから多数のECサイトやショッピングモールが誕生し、利用者も増加しました。
2009年に日本でiPhone3の販売が開始されて以降、爆発的にスマートフォンの普及率が向上しました。ました。同じく2009年にAmazonの当日配送サービスと楽天市場の翌日に商品が届く「あす楽」が開始されています。
スマートフォンの普及と大手ショッピングモールのサービスが、ECはいつでもどこでも買い物ができ、スピーディに商品が届く、といった利便性浸透のきっかけとなりました。
あわせて、2000年代にはECの普及によるトラブルを防止するための、法整備が進みました。
2010年代に入るとFacebookなどがEC事業を開始し、SNSの活用を通じた顧客の囲い込みや、広告、販売促進などを実施する企業・個人が増加しました。
2015年には「ポストイン」「コンビニ受け取り」「宅配BOX など」のような商品の受け取り方法が一般化し、さらに利便性が高まりました。
時代と共にECサイトでの買い物がしやすくなるなか、2019年からは新型コロナウイルス感染症の蔓延による外出自粛や商業施設・店舗の休業がECの成長を後押ししました。
その結果、店舗を開けられない販売者はECを開始し、外出できない消費者によるECサイトを利用した買い物が増加しました。
ECサイトでの商品販売はさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。
ここからは、ECサイトで商品を販売するメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
・ECサイトで販売するメリット ・ECサイトで販売するデメリット |
実店舗と異なるECサイトの最大の魅力は、24時間365日、時間に左右されず商品を販売できることです。また、来店が不要なため購入ユーザの居住地など、場所による制約も受けません。
時間や場所に左右されず販売機会を増やし、売上向上が狙えるのがECサイトのメリットです。さらに、ECサイトならではの以下の機能を活用できる点も魅力です。
ECサイトで販売するメリット |
◾️|定期購入機能 ◾️|関連商品やおすすめ標品の表示 ◾️|割引クーポンやメルマガの配信 など |
ECサイトでは新規ユーザやリピーターの獲得に役立つ機能を活用できるほか、実店舗と異なり、テナント料や光熱費、販売員の人件費などのコストが発生しません。
初期費用や固定費を抑えられ、事業をはじめやすい点もECサイト販売のメリットです。。
メリットがある一方で、ECサイトでの商品販売にはデメリットも存在します。まず、ECサイトでの販売には以下のようなサイト運営にまつわる最低限のノウハウが欠かせません。
ECサイトで販売するデメリット |
◾️|ECサイトの構築スキル ◾️|商品画像の撮影・加工スキル ◾️|商品情報の文章を作成するためのライティングスキル ◾️|情報セキュリティに関する知識 ◾️|SEOや広告に関する知識 など |
ASPやショッピングカートなどを利用すれば、ECサイトの構築に関する高度なスキルは不要で外注もできますが、軽微な更新や修正を都度依頼する運用は、コストがかかり対応が遅れるため、自社でもある程度のノウハウを蓄積する必要があります。
さらに、ECサイトはユーザが実際に商品を手に取って確認することができません。写真や紹介文、動画などを活用し、商品の魅力がユーザに伝わる工夫をしなければ、購入につながりにくい点もECサイトのデメリットです。
比較的容易にはじめられるECサイトですが、軌道に乗るまでには手間と時間がかかります。WebやSNS広告、SEO対策など、地道な情報発信により認知を広げユーザを獲得する必要があります。
ECサイトを自社で構築する場合、方法はさまざまです。
どの方法もメリット・デメリットがあり、費用や特徴が異なるため、構築する場合は自社の目的に合う方法を選択することが大切です。
ここからは、以下について詳しく解説します。
・ECサイトの5つの構築方法 ・ECサイトに必要な機能 |
ECサイトを構築するためには以下5つの方法が存在します。
ショッピングカート
事業者が提供するクラウドサービスを活用し、ECサイトを構築する方法です。
ECサイトに必要な機能が実装されており、専門知識やスキルなどがなくてもECサイトを構築できます。ショッピングカートの利用では、コストが抑えられるメリットがある一方で、カスタマイズできる幅が限られます。
ECパッケージ
ベンダーが提供するパッケージを利用し、ECサイトを構築する方法です。
カートや受注管理、売上管理など、ECサイトに必要な機能がそろっており、利用すれば自社でゼロから開発する必要がありません。
機能やデザインなどの自由度が高い点もメリットの一つで、フルスクラッチよりも手間やコストが抑えられます。
ただし、一部開発が必要になるため技術力が求められ、初期費用も安価ではありません。
ASP
事業者がインターネットを通じて提供するアプリケーションを利用し、ECサイトを構築する方法です。
高いスキルがなくてもECサイトを構築できるケースが多く、コスト負担も抑えられます。
ただし、基本的にカスタマイズができず、自由度が制限されます。
オープンソース
無償で公開・提供されているソフトウェアを活用し、ECサイトを構築する方法です。
ECサイトのベースとなる機能はオープンソースにより構築でき、デザインの設定や必要なカスタマイズの実施だけでECサイトを構築できます。
フルスクラッチと比べ、コストや構築負担を減らせます。ただし、適切な初期設定や継続的なアップデートを行わなければ、不正アクセスなどのリスクがあります。
フルスクラッチ
自社でゼロからECサイトを構築する方法です。
自由度がもっとも高く、機能やデザインなど自社に合わせたカスタマイズが可能です。
ただし、開発には莫大なコストと時間、技術人材が必要です。技術力の不足による、深刻なバグや個人情報の流出リスクが起こった場合、経営に悪影響を与える可能性があります。
それぞれ、特徴やメリット・デメリットが異なるため、自社に合う構築方法を選択することが重要です。
≫≫ ECサイト構築方法を解説!作り方や費用・構築ツールを徹底比較
≫≫ ECサイト構築にかかる費用相場の内訳を4つの制作方法とともに解説
商品を掲載し、販売や配送を行うECサイトには以下のような機能が必要です。
機能 | 詳細 |
サイト内検索 | 検索窓を設置し、商品名などのキーワードで商品を検索できる機能です。 自分が欲しい商品が見つからなければ、ユーザはすぐに離脱してしまうため、ECサイトには欠かせない機能です。候補となるキーワードと商品画像を予測表示させる画像付きサジェストや、さまざまな条件で絞り込みができる絞り込み検索も導入するとユーザビリティが向上します。 |
カート | 購入する前の商品を買い物かごに入れておく機能です。 |
支払い・決済 | クレジットカード決済 バーコード決済 ID決済 ICカード決済 銀行振込 コンビニ決済 代金引換上記の決済を行う機能です。 決済方法が少ないとユーザが離脱する原因となるため、豊富な手段を提供する必要があります。 |
コメント・レビュー | 購入した商品に関する感想を投稿したり、その内容を閲覧する機能です。 商品の実物が確認できないECサイトでは、レビューは商品購入の意思決定にとって重要な情報です。 |
問い合わせ | サイト運営者へユーザが問い合わせをするための機能です。 ユーザの疑問や不満を解決でき、適切な対応を行えば顧客満足度の向上やリピーター獲得につながります。 |
ユーザ登録・ログイン | 会員を獲得する機能です。 リピーターを得るためには会員の獲得が欠かせません。 近年は、SNSやGoogleアカウントを利用し、会員登録・ログインができるケースもあります。 |
マイページ | 登録した情報や購入履歴など、ユーザ自身の情報を確認できる機能です。 支払い方法や配送先の設定も可能です。 |
商品管理 | ECサイトに以下などの情報を掲載し、管理する機能です。 名前 画像 価格 詳細情報 など |
在庫管理 | 商品の在庫数を管理し、受注に備えるための機能です。 |
顧客管理 | 各顧客の個人情報や購入履歴などを管理する機能です。 利用頻度や購入金額に応じた会員ランクの付与や、各ユーザに合わせた商品レコメンドなどに役立ちます。 |
受発注管理 | 購入された商品における処理と配送指示を行う機能です。 また、購入したユーザに対してもメール配信を行います。 |
売上管理 | 商品の販売実績を集計し、売上を管理する機能です。 販売数や売上の合計だけでなく、どの商品がどの程度購入されているかを分析でき、販売計画や戦略策定の参考になります。 |
セキュリティ | 顧客の個人情報を扱うECサイトではセキュリティ対策が欠かせません。 個人情報の流出により経営に大きな影響が出るケースもあります。 |
ECサイトの構築方法によっては、これらの機能が搭載されている場合もあります。
自社で開発する場合は、必要な機能の漏れがないように注意しましょう。
≫≫ サイト内検索とは?3つのやり方・導入方法から活用事例までを解説
本記事では、ECの概要やECサイトのメリット・デメリット、構築方法について解説しました。
EC市場は右肩上がりに拡大し、今後も拡大し続けると予想されます。
最低限のサイト運営にまつわるノウハウが必要で、軌道に乗るまで時間がかかるなどのデメリットがある一方、以下のメリットが存在します。
ECサイトの主な構築方法は5つあるため、立ち上げの際は自社に合う方法を選択しましょう。
GENIEE SEARCH編集部
(X:@BST_hoshiko)
ECサイトや企業サイトにおける快適なユーザ体験を実現するための導線改善方法から、ECマーケティングの手法まで幅広く情報を発信しています。