さまざまな業界で購買行動のオンライン化が進むなか、百貨店各社でも「百貨店品質」を届けるEC戦略が加速しています。
百貨店業界のECへの進出は、消費者の購買行動や市場構造に大きな影響を与えつつあります。
そこで本記事では、百貨店ECの特徴や成功事例を詳しく解説し、成功のための重要なポイントを解説します。
また、記事内では百貨店ECサイトのレコメンド機能を向上する「GENIEE RECOMMEND(ジーニーレコメンド)」、ECサイト内検索を最適化する「GENIEE SEARCH(ジーニーサーチ)」についても紹介します。
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【目次】
ここでは、百貨店ECサイトの現状や特徴を把握するために、以下のポイントを解説します。
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国内のBtoC物販市場におけるEC化率は、2023年時点で9.38%となっています 。
その一方で、百貨店業界においては、主要5社のEC化率が1.3%から4.4%の範囲にとどまっており、業界全体の平均は約3%と推定されています。
百貨店業界はほかの小売業態と比較してEC化率が低い状況です。
2020年前後の新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅需要の高まりにより、百貨店のEC利用も一時的に増加しましたが、その後の成長は鈍化し、現在まで大きな拡大にはつながっていません。
一方で、Amazonや楽天市場などの大手ECプラットフォームは、利便性や価格競争力を武器に市場シェアを拡大しており、百貨店ECの競合は容易ではありません。
多くの百貨店のECでは、食品、コスメ、ギフトなどの「百貨店らしさ」が求められるカテゴリに偏っており、日常的な利用としては浸透しづらい状況です。
また、システムの使いやすさや配送体制の整備なども他業態に比べて改善の余地が大きいとされています。
これらの課題を克服し、百貨店のEC事業を成長させるためには、百貨店ならではの強みを生かした戦略を構築する必要があります。
百貨店のECサイトでは、贈答品や季節のギフトなど、ギフト需要に対応した商品ラインアップを充実させ、顧客のニーズに応えています。
お歳暮やお中元、内祝いなどのフォーマルなギフトはもちろん、誕生日や記念日などのカジュアルなギフトにも対応し、幅広いニーズをカバーしています。
また、母の日、父の日、敬老の日などのイベントや季節に合わせたギフト商品の提供で、ほかのECサイトとの差別化を図っています。
百貨店ECは、ギフト需要に特化した商品ラインアップとサービス提供で、顧客のニーズに応える販売戦略を行っています。
百貨店のECサイトは、ほかのECプラットフォームと差別化を図るため、高価格帯の商品や品質への信頼性が高い商品の取り扱いに注力しています。
例えば、三越伊勢丹グループは、CRM戦略において顧客一人ひとりのニーズに応える「個客とつながる」を重点戦略として展開しており、高感度で上質な商品を提供して、ブランドの独自性と信頼性を強化しています。
百貨店ECは、他業界のECサイトではあまり見かけない高価格帯の商品や品質への信頼性が高い商品を取り扱うことでブランド価値を維持し、顧客の信頼を獲得しています。
百貨店ECにおける課題は主に以下の2点です。
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上記の課題についての対策としては、さらなるブランド力の強化と実店舗とのオムニチャネル化の推進が挙げられます。
ここでは、百貨店ECにおけるこれらの課題について解説します。
百貨店のEC事業では、実店舗で広く採用されている「消化仕入れ」という取引形態により在庫確保が難しくなっています。
消化仕入れとは、商品が販売された時点で仕入れが成立する方式であり、商品が店頭に並んでいても、販売が成立するまでは百貨店側が在庫を保有しない仕組みです。
消化仕入れは、実店舗においては在庫リスクを軽減するメリットがありますが、ECサイトではデメリットが顕著に現れます。
ECサイトでは、リアルタイムでの在庫管理が必要です。消化仕入れの方法を取る百貨店では在庫を持たないため、顧客が購入を試みた際に商品を提供できないリスクが高まります。
さらに、百貨店のECサイトは、実店舗と比較して集客力が劣る場合が多く、ブランド側がECサイトに在庫を保証し提供するインセンティブが低い点も課題の一つです。
ブランド側は、販売実績が不透明なECサイトに在庫を供給するリスクを避ける傾向があり、結果として百貨店ECサイトの商品ラインアップが限定的となる場合があります。
今後、百貨店ECが競争力を高めるためには、在庫管理の見直しや、ブランド側との新たな取引形態の構築が求められるでしょう。
百貨店業界は長年の歴史と実績を持つ一方で、その大規模な組織構造がEC事業への迅速な対応を阻害する要因となっています。
多くの百貨店では、各部署が独自にECサイトのトップページにバナーを設置するなど、部署間の連携が不十分で、サイト全体のユーザビリティの低下につながってます。
また、デジタル化の重要性が認識されていたとしても、具体的な施策の実行や組織全体での取り組みが進まないケースが多く見受けられることも問題点の一つです。
課題の解消には、ユーザーフレンドリーなECサイトの構築や、デジタルマーケティングの強化など、組織を横断した改善への取り組みが不可欠です。
百貨店ECサイトを成功させるためには、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
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ここでは、上記のポイントについて解説します。
百貨店のEC事業において、従来の「消化仕入れ」方式への依存は、在庫確保の柔軟性や迅速な対応を制限する要因となっています。
消化仕入れ方式のデメリットを解消するためには、例えば、特定の商品を事前に買い取る「買取仕入れ」や、一定期間内に売れ残った商品を返品可能とする「委託仕入れ」など、柔軟な取引形態を導入する必要があります。
また、ECサイトの販売力を高めて、商品提供元がECにも積極的に在庫提供を行ってくれる関係性の構築も重要です。
百貨店のEC事業では、従来の取引形態にとらわれず、ECの特性に適した在庫確保や仕入れ方法を確立する施策が求められています。
百貨店ECサイトの成功には、特に中高年顧客層を意識した直感的で使いやすいUI/UX設計をスピーディに実現する必要があります。具体的には、以下のようなポイントを押さえたサイト設計を行いましょう。
上記のような改善をフレキシブルに進めるためには、意思決定の迅速化や部門間の連携強化が大切です。
例えば資生堂のオンラインストアのリニューアルでは、週3~4回の進捗会議を実施し、課題を即時報告・解決する体制を整えた結果、7か月での大規模リニューアルを実現しました。
ユーザにとってわかりやすく使いやすいUI/UX設計と、スピード感を持った組織体制の構築が、百貨店ECサイトの成功には欠かせません。
百貨店のECサイトでも、会員登録とポイント制度は、顧客のロイヤルティを高め、リピート購入を促進するための重要な施策です。
特に、実店舗とECサイトのポイントシステムを連携させると、顧客はどのチャネルでも一貫したサービスを受けられ、利便性が向上します。
会員登録を促進するためには、例えば、商品閲覧中に画面下部に会員メリットを訴求する固定バナーを表示し、会員登録を促す方法が効果的です。
会員登録後に利用できるポイント制度のメリットを丁寧に説明する特設ページを設置して、バナーから誘導を行うことで納得と理解を得られやすくなります。
会員登録とポイント制度を効果的に活用すれば、顧客のロイヤルティを高め、競争力を強化できるでしょう。
百貨店のECサイトでは、ギフト需要が高まる季節やイベントに合わせたデザインが重要です。
特に、お歳暮やお中元、バレンタインデー、母の日などの贈答シーズンには、季節感を取り入れたビジュアルでユーザの購買意欲を刺激し、消費を喚起する施策が効果的です。
例えば、近鉄百貨店ネットショップでは、トップページの複雑なナビゲーションを避け、「おせち&お歳暮」といった特集バナーを固定表示し、ユーザがスクロールしても常に目に入るような工夫を行っています。
また、ギフト需要が高まる時期には、他のECサイトも同様の訴求を行うため、魅力的なビジュアルで差別化を図らなければなりません。
百貨店ECサイトでは、季節感を活かしたデザインを取り入れた魅力的なサイト作りが成功の鍵となります。
豊富な商品ラインナップがある百貨店のECサイトにとって、パーソナライズされたレコメンド機能は重要な役割を果たします。
例えば、「この商品を見た人はこんな商品も見ています」といったレコメンドは合わせ買いを促進でき、客単価アップに効果的です。
また、お気に入り機能と連携させて、ユーザが気になった商品を簡単に保存・比較できるようにする施策も効果的です。
百貨店ECにおけるレコメンド機能は、単なる「売上促進ツール」に留まらず、顧客体験全体を底上げする重要な役割をもっています。
百貨店ECサイトにレコメンドを実装するために役立つ支援ツールが「GENIEE RECOMMEND」です。
GENIEE RECOMMENDについては次項にて詳しく解説します。
パーソナライズドレコメンドを実装する方法とは?仕組みや活用事例を解説
百貨店ECサイトにおいて、一人ひとりの嗜好に合わせパーソナライズした商品提案は、顧客体験の向上と売上拡大に直結します。
パーソナライズなレコメンドの実現をサポートできるのが、株式会社ジーニーが提供するレコメンドサービス「GENIEE RECOMMEND」です。
GENIEE RECOMMENDは、従来の売上順やPV順といった画一的なロジックではなく、各ユーザの好みに合わせた鮮度の高いレコメンドが可能なサービスです。
また、導入後も専任のサポート担当が定期的なチューニング提案や打ち合わせを実施し、企業の目的達成に向けて伴走するなど、継続的なUI/UXの改善が図られ、顧客満足度の向上が可能です。
百貨店ECサイトが競争力を維持・強化するためには、GENIEE RECOMMENDのようなユーザの多様なニーズに応えるレコメンド機能が不可欠です。
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ここでは、以下の大手百貨店ECサイトの成功事例を紹介します。
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高島屋オンラインストアでは、従来の百貨店コスメに加え、価格を抑えたプチプラコスメや、トレンドを押さえた韓国コスメなども積極的に取り扱い、幅広いニーズに応えています。
また、スマートフォンユーザを重視し、操作しやすい設計にも力を入れています。
ECサイトの改善において、高島屋オンラインストアでは、まず各店舗が開発した商品に加え、専任バイヤーを配置して独自の仕入れルートを開拓し、ECサイト限定商品の開発に注力しました。
さらに、EC専用の在庫保管倉庫を整備し、スムーズな配送体制を整えたことで、顧客満足度の向上につなげています。
その結果、高島屋オンラインストアでは2023年3月期にEC売上高517億円を記録し、前年比14.2%増を達成しました。
高島屋オンラインストアは、百貨店業界では第2位の売上規模となっています。
三越伊勢丹では、EC事業と並行してアプリ開発にも注力し、スマートフォンユーザーに向けた利便性の向上を図っています。
アプリ上で「集客」「情報発信」「販売」を一気通貫で完結できる仕組みを整え、ユーザがスムーズにショッピングを楽しめる環境を提供しています。
また、オウンドメディアも運営し、ECサイトとの連携を強化しています。オウンドメディアのコンテンツから、ワンクリックでECサイトへ遷移できる導線を構築し、購買意欲の高い顧客を確実に取り込む仕組みを整えました。
アプリ・オウンドメディアの取り組みの結果、2023年3月期決算における三越伊勢丹のオンライン事業(ECを含む)の売上高は、前期比7%増の約400億円を達成しました。
阪急百貨店では、実店舗、ECサイト、SNS、カタログなど、あらゆる顧客接点を統合するオムニチャネル戦略を推進し、購買促進に取り組んでいます。
公式LINEアカウントから来店予約を受け付ける「HANKYU FITTING SALON」を導入して、待ち時間なしで接客を受けられる仕組みを構築しました。
また、実店舗で販売されている商品を自宅へ届ける「Remo Order(リモオーダー)」や、ECサイトに未掲載の商品情報を掲載する「Webカタログ」の提供を行い、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐ体験を強化しています。
阪急百貨店では、あらゆる接点を活用して顧客の購買意欲を高め、販売機会の損失を防いでいます。
さらに決済面では、住所やクレジットカード情報の入力を省略できる「Amazon Pay」を導入し、Amazonブランドの信頼性を活かし、セキュリティ面への不安を払拭しながら、ユーザの利便性も向上させています。
取り組みの成果として、阪急阪神百貨店は2023年3月期に前年比12.4%増、443億円のEC売上高を記録し、百貨店業界で第3位の売上を達成しています。
大丸松坂屋のECサイトでは、トップページに自社が厳選したおすすめ商品を大きなバナーで表示し、視覚的にダイナミックに訴求することで、実店舗を訪れたかのようなワクワク感を演出しています。
また、ユーザの利便性にも配慮し、「サイト内検索」や「カテゴリー別検索」機能を導入して、目的の商品へスムーズにたどり着ける設計を行っています。
集客施策としては、YouTubeで1分以上の長尺の宣伝動画を配信するなど、デジタル広告に注力するほか、社内に専任の体制を整備して広告効果を継続的に検証するといった取り組みを行っています。
広告の配信時間や動画内容など、さまざまなパターンを試行し、2018年以降は年間平均400以上もの動画広告を配信・検証しています。
UXの改善と効果的な広告配信により、ECサイト経由での売上は他の企画と比較して158%増加しました。
近鉄百貨店では、「近鉄のおせち」や「近鉄のお歳暮」など、「近鉄の◯◯」シリーズを展開し、安心感と高級感を打ち出した「近鉄ブランド」の強みを前面に押し出す施策を展開しています。
また、「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」といった大手ECモールにも積極的に出店し、自社サイトに限らず広範囲な露出を図ることで集客から購入完了までをスムーズに実現する導線を整備しています。
コロナ禍における2020年5月〜8月の「お中元向け通販企画」では、「簡単操作マニュアル」の作成やサイトリニューアル、アプリによる告知など、利用者目線の改善策に注力しました。
これらの取り組みにより、通販企画の売上は前年同期比で36%増となりました。
株式会社京阪百貨店は、商品背景にあるストーリーを丁寧に伝える「読み物型ECモール」を展開し、独自の成功を収めています。
同社が手掛ける「よろずを継ぐもの」では、単なる商品販売にとどまらず、生産者の思いや地域文化、風習に光を当てたストーリー性重視のコンテンツを展開しています。
取り扱う商品も、京阪百貨店の既存取引先に限定せず、特徴ある商品やサービスを幅広く選定しています。
また、これまで京阪地域を中心としていた顧客層・商圏を拡大し、「よろずを継ぐもの」では、関西圏25%、東京20%と、全国各地への販路拡大を果たしました。ターゲット年齢層も30代後半〜50代へと広がりを見せています。
京阪百貨店は、百貨店の企画力を生かした「ストーリーで魅せる新しいECの形」を追求しており、商品を売り込むのではなく、物語を語る切り口で多くのファンを獲得している点が特徴的です。
【業界別】ECサイトの成功事例20選と成功させる5つの法則とは?
百貨店ECを成功させるためには、以下の項目を意識して取り組む必要があります。
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特に、スマートフォン利用者の増加や多様な商品ラインナップに対応するためには、直感的に使いやすい高い操作性とパーソナライズされた提案が求められます。
操作性を改善し、パーソナライズされた提案を百貨店ECサイト上で実現するための支援ツールとして、導入をおすすめするのが株式会社ジーニーが提供する「GENIEE SEARCH」「GENIEE RECOMMEND」です。
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GENIEE SEARCH編集部
(X:@BST_hoshiko)
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