ECサイトを管理する上で、運営の良し悪しを判断する指標の1つとして、CVRがあげられます。
管理しているECサイトのCVRが良くない数値だった場合、今後の運営継続面で不安を感じる方もいると思います。
CVRを改善させるために、どのような施策を実施すればよいのかを模索しているECサイト管理者に向けて、CVRの基礎知識から具体的な改善施策までを解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
そもそも、CVRとは「Conversion Rate」の略称であり、コンバージョン率とも呼ばれます。「Conversion」という単語自体は、日本語で「転換」という意味ですが、Webマーケティング業界においては「成果」という意味でも使用されています。
通常、Webサイトを訪れた人全体の分母に対して、実際にユーザが起こしたアクションや成果(CV)の割合を「CVR」という言葉で表します。
上記はAdobe社が2020年に実施した調査をもとにECサイトカテゴリ別の平均CVRを示したグラフです。カテゴリによってばらつきがありますが、CVRの平均は3%程度です。
サイトに100人のユーザが訪れたうち、3人がアクションを起こせば十分な成果といえます。しかし、3%という数値はあくまでも全体の平均であることに注意しましょう。
ご自身が取り扱う商品カテゴリの平均値を把握しておきましょう。
先程のグラフデータによれば、最も低いCVRは家電の「1.4%」となっています。万が一、運営しているサイトがこの数値を下回っていた場合、取り扱っているカテゴリを問わず、CVRはかなり低いと考えてよいでしょう。
CVRが低くなっている理由については、主に以下の3つが考えられます。
まずはこの3点を確認し改善できるように、それぞれの詳細について解説していきます。
ユーザはサイトに対して、何かしらの商品や情報を求めて訪問します。このユーザの目的をニーズと呼び、CVRが低いサイトの特徴としてニーズに応えられていないケースが多い傾向にあります。
初めてサイトを訪れたユーザは、サイトに掲載されている商品や情報が求めている内容と少しでも違うと感じれば、即座に離脱してしまうでしょう。
サイト運営者がターゲットとするユーザに対して、適切なデザイン、使い勝手を作り込む必要があります。
ユーザは実際に商品を購入するまでに、予算や求める商品スペックなどに合わせて複数の候補商品の比較・選択を繰り返し最終的なアクションに至ります。
気に入った商品が見つかったとしても多くのユーザはその商品名でWeb検索を行い、より安く商品を取り扱っている他のサイトがないかを調べる傾向があります。そのため、自社ECサイト内で購入を後押しする十分な情報が掲載されていない場合は離脱につながり、他サイトで購入される可能性があります。
もし、自社サイトの商品を閲覧しているユーザは多いものの最終的なCVRにつながっていないのであれば、購入に必要な情報や購入アクションへの後押しが不足している可能性があります。これらの具体的な対策については、「クーポンの発行や期間限定で時間を意識させる」で解説していますので、そちらをご確認ください。
現在ECサイトを訪れるユーザの多くは、スマートフォンを使用しています。
自社ECサイトがパソコンなどの大画面のみを想定していた場合、スマートフォンのような小さい画面では文字や写真が見にくく、伝えたい内容が上手く伝わらない可能性があります。
また、クリック要素が近すぎて誤クリックが多発するなど、ユーザビリティを著しく低下させてしまうことも考えられます。そのため、スマートフォンでも使いやすいように、レスポンシブへの対応が重要視されています。
どの端末でも見やすく使いやすいサイト構築を心がけましょう。
それでは、実際にCVRを改善させる施策について、以下の5つに分けて解説していきます。
画像出典:令和3年7月 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)報告書」P63
上記のグラフは経済産業省が2021年7月に調査した、スマートフォン経由の市場規模に関連する報告書です。ご覧のように、年々スマートフォン経由の市場規模及び比率が増加傾向にあります。
この動きと連動するように、2019年と2020年の物販系分野のBtoC-ECの市場規模においても、その増加額の90.1%をスマートフォン経由が占めるという結果が出ています。
以上から、現在のEC市場はスマートフォンが牽引していると言っても過言ではないでしょう。そのためサイト構築やデザイン、ユーザビリティ面において「モバイルファースト」を意識することで、CVRの改善につながると考えられます。
スマホ向けのECサイト改善方法については、当ブログの記事「サイト内検索でスマホECサイトの購入売上を改善する方法」で解説しているので、興味がある方はご覧ください。
サイトに訪問するユーザは、どのリンクを辿れば求めている商品にアクセスできるのかが判断できません。ユーザの心理としては、求めている商品がすぐに見つかることを期待しているため、探すことに手間がかかるとそのサイトから離脱する傾向にあります。
目的の商品をすぐに見つけやすくするためにサイト内検索機能の導入が欠かせません。サイト内検索ツールは無料ツールから、有料のツールまでさまざまなものが提供されています。
無料で使用できるサイト内検索ツールは、検索結果に競合の広告が表示されるなどのデメリットがあるため、大規模なECサイトやCVR改善を目的としている場合は、より確実な成果が期待できる有料ツールの導入をおすすめします。
≫≫ サイト内検索とは?検索機能の3つの利用方法から導入方法まで徹底解説
年間を通して代わり映えのないサイトであれば、ユーザの興味関心も次第に薄れてしまいます。実際の店舗に置き換えて考えれば、容易に想像ができます。
ユーザの購入検討段階では、自身の予算等に合わせて求めている商品を比較します。前述した通り、閲覧しているサイトで求めている商品が見つかったとしても、ユーザの多くはより低い価格で商品を掲載しているサイトを探す傾向にあります。
自社ECで購入するメリットをユーザに提示するため、商品ページにて「他の商品と合わせて購入すると〇〇%オフ」でついで買いを誘発したり、「タイムセール」の告知や「クーポンを配布」などの情報を表示したりすることで、ユーザの購入を後押しし、他サイトへの流入を防ぐことができます。
「限られた時だけの特別感」や「時間制限がある」といった条件を付けることで、ユーザの購買意欲を通常時よりも高めることができます。
ECサイトでユーザが商品をカゴに入れたとしても、約7割が実際に購入されることなく忘れ去られています。これは「カゴ落ち」と呼ばれる状況で、主に以下のような理由があげられます。
このように複合的な要因からカゴ落ちは発生しますが、まず1つ目の対策として、メールでカゴに残っている商品をアナウンスすることがあげられます。
ユミルリンク株式会社が「通常の一斉配信」と「カゴ落ちユーザへアナウンスを目的としたメール配信」のCVRを調査したところ、通常の一斉配信よりも4倍〜5倍のCVRの差があることが明らかとなりました。このことから、カゴ落ちユーザへのアナウンスはCVR改善に大きく貢献する施策であると言えます。(https://www.cuenote.jp/library/marketing/cart-abandonment-rate.html「カゴ落ちとは?メールで解決するカゴ落ち対策」より引用)
カゴ落ちの理由とも共通しますが、購入までに必要な手順が多ければ多いほどユーザの離脱率は高くなります。
そのため、新規ユーザでも会員登録無しで購入できる仕組みや、登録が必要でも手順を極力少なくするなどの対策が必要です。Amazonがワンクリック決済を導入しているように、購入までの手間が少ないほどCVRの改善が期待できます。
CVR改善につながる施策を紹介しましたが、多くのECサイト運営者が気づいていないCVR改善の方法として、サイト内検索機能の最適化があげられます。
運営者が想像する以上に、ユーザは検索機能を利用して求めている情報や商品ページへとアクセスしています。
当社が行った調査では、サイトに訪問したユーザのうち9割がサイト内検索機能を使用しており、そのうち目的の商品が見つからない場合は、8割がそのサイトを離れるという結果が出ています。
サイト内検索の導入事例として、商品名の完全一致で検索結果を表示させていた「ラコステジャパン様」のサイト内検索に、キーワードから連想される候補を表示するサジェスト機能を搭載したことで、CVR改善に大きく貢献しました。この事例からもわかるように、サイト内検索機能の最適化はCVR改善につながります。
≫≫サイト内検索導入事例:ラコステ ジャパン様「検索利用者の直帰率83%改善、CV率約2.8%向上」
サイト内検索ツールを設置するだけでは十分な効果が得られない場合もあります。
検索精度や利便性の改善が不十分なWebサイトは、反対にユーザの離脱を生んでしまいます。正しい方法でサイト内検索機能を活用し、課題を解消することがCVR改善につながります。
では、どのようなサイト内検索ツールであればCVR改善が可能なのでしょうか?以下で、自社ECに最適なサイト内検索ツールを選ぶポイントを解説します。
商品販売を目的としたECサイトとそれ以外のWebサイトでは、サイト内検索に求められる機能が異なります。
ECサイトでサイト内検索を利用する場合は、ECに特化した機能を搭載したサイト内検索ツールを選ぶことをおすすめします。具体的には以下のような機能です。
サイト内検索ツールの検索精度や検索速度は大切ですが、デザイン性も忘れてはいけません。
大手ポータルサイト「Yahoo!JAPAN」は、検索窓の高さを示すピクセル数を22から28に変更したところ、広告クリック率が0.64%向上したそうです。
わずか1%以下の変化ではありますが、毎日数万人が利用するYahoo!JAPANでは、この変動で広告収入が4億8000万円も変わったと公表しています。
検索窓の大きさ・形・見つけやすさなどデザインによってサイト内検索の利用率が変動するため、検索窓のデザインをA/Bテストし、より効果が高いデザインや配置を把握することで、検索窓の利用率やCVR改善につなげましょう。
当社が行った調査でサイト内検索をするユーザは、検索しないユーザと比べてCVRが3〜8%ほど高くなる傾向があると明らかになっています。購入を検討している商品が明確であるユーザが多く、該当する商品があれば購入する確率が高いためです。
検索されたキーワードを分析し、検索語句からユーザのニーズを把握できる機能をもったサイト内検索を使用することで、頻繁にサイト内検索されているキーワードに対して施策を打つことができます。
購買意欲の高いユーザに対して的確な商品情報を提供できれば、CVR改善が期待できます。
前述したように、ECサイトのCVR改善にはサイト内検索ツールの導入は必須です。
GENIEE SEARCH for ECは、「サイト内検索ツールがECサイトに特化した機能を持っているか」で紹介した機能がすべて搭載されているほか、シリーズ累計で900社以上が導入しているサイト内検索ツールです。
JavaScriptタグによる手軽でスムーズな導入が可能で、20以上の豊富な機能の組み合わせにより、自社ECサイトに適した理想のナビゲーションを実現できます。
商品情報以外に関連サイトの情報やブログ、FAQなどの検索も可能なため、ECサイトで商品を購入したいユーザだけではなく、興味関心、比較検討段階のユーザにも満足いただける情報提供が可能です。
ECサイトにおけるサイト内検索は売上アップに欠かせないツールのひとつです。
時代によってサイト内検索に求められる機能やデザイン性も変化するため、これまでECサイトの検索をあまり意識していなかったり長年同じツールを使っているのであれば、より適したツールへの乗り換えを検討してみてもよいかもしれません。