ECサイトでよく見かける「おすすめ商品」や「関連商品」の表示を実施できるのが、レコメンド機能です。レコメンド機能は、ユーザの興味を引き、購入につながりやすくする重要な役割を果たし、ECサイトの売り上げ・顧客満足度を向上させるために欠かせません。
本記事では、ECサイトのレコメンド機能について、基本的な仕組みから導入による得られるメリットなどを解説します。また、記事の後半ではECサイトのレコメンドを多角的に実施できる機能を多数搭載した支援ツール「GENIEE RECOMMEND」について紹介します。
ECサイトにおけるレコメンドとは、ユーザに適した商品やサービスを提案する仕組みを指します。例えば、閲覧履歴や購入履歴に基づいて、ユーザの興味関心を引く商品・サービスを表示し、売り上げおよび購買体験を向上させる施策があげられます。
レコメンド機能を活用すれば、ユーザは効率よく欲しい商品を見つけられ、購入までの時間を短縮することができます。一方、企業側は販売促進や顧客満足度の向上が期待できるため、レコメンド機能は買い手と売り手の双方にとって有益なシステムです。
≫≫ レコメンドとは?機能の仕組みから導入するメリットを解説
≫≫ レコメンドシステムとは?7種類のアルゴリズムと選び方を解説
レコメンド機能を実行するためのベースとなるエンジンには、以下の5種類があります。
1. ルールベース型 2. 協調フィルタリング型 3. コンテンツベースフィルタリング型 4. パーソナライズレコメンド 5. ハイブリッド・レコメンデーション・システム |
≫≫ レコメンドエンジンとは?仕組みや機能・ツールを徹底比較
ルールベース型のレコメンドエンジンは、ユーザの購入履歴や閲覧履歴に基づいて、おすすめの商品やコンテンツを選定する仕組みです。あらかじめ設定されたルールに従って商品を提案するため、比較的シンプルで理解しやすい点が特徴です。
ルールベース型は、設定が容易で導入しやすい反面、ユーザのニーズに完全に応えられない場合もあります。実施するハードルが低いため、レコメンド機能を試してみたい方におすすめです。
協調フィルタリング型のレコメンドエンジンは、ユーザの各種行動データを活用して、似たような行動を取っているほかのユーザの情報をもとにレコメンドする仕組みです。協調フィルタリング型でレコメンドを実施すれば、ユーザは自身が把握していない商品・サービスを的確に提案できるため、新規に購入する可能性が高まります。一人ひとりの嗜好をユーザの行動データから予測し反映させる仕組みにより、高精度なレコメンドが実現できる点が協調フィルタリング型の強みの一つです。
コンテンツベースフィルタリング型のレコメンドエンジンは、商品の特徴や属性に基づいて、ユーザに関連する商品を提案する仕組みです。あらかじめ似た特徴を持つ商品をグルーピングしておき、その中からおすすめ商品を選んで表示します。コンテンツベースフィルタリング型のレコメンドでは、ユーザは興味のある商品の代替品や関連商品を簡単に見つけられるため、購買行動につながりやすくなります。
パーソナライズドレコメンドは、ユーザの行動履歴を分析し、そのユーザの関心が高いと思われる商品を個別におすすめする仕組みです。ユーザの閲覧・購入履歴やサイト内でのクリックや検索行動などを分析して、関心を持ちそうな商品を提案するのが基本的な流れです。ユーザは、自分が求めている商品・サービスを迅速に見つけられるため、サイトの利用時の顧客体験が向上します。また、企業側にとっても精度の高いレコメンドの提供により、コンバージョン率の向上や顧客満足度の向上が期待できます。
ハイブリッド・レコメンデーション・システムでは、複数のレコメンド手法を組み合わせて、それぞれの強みを活かし、自社独自の効果的なレコメンドを実現します。ハイブリッドなユーザへのアプローチにより、各システムの欠点を補い、顧客体験をさらに向上させられます。複数のシステムの組み合わせによる効果を最大限引き出せれば、レコメンドの精度を上げられるため、コンバージョン率や顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
ECサイトにレコメンドエンジンを導入するメリットは以下です。ECサイトにおけるレコメンドエンジンを導入するメリットについて解説します。
1. 顧客満足度の向上 2. 商品購買率の向上 |
レコメンドエンジンを導入すれば、ECサイトの顧客満足度を向上させられます。ユーザとしては、自分でカテゴリを絞り込んだり、キーワードを入力したりする手間を省けるため、欲しい商品を簡単に見つけられる点でレコメンドは大きなメリットです。また、サイト内での探索の負担が軽減されれば、顧客体験の質が向上し、購買意欲も高まりやすくなります。
レコメンドエンジンの導入により、ユーザの商品購買率の向上も期待できます。ユーザの行動履歴や購入履歴などのデータを分析し、それに基づいて顧客の興味や関心が高い商品ページを効果的に提案可能です。そして、顧客に対して適切なレコメンドを表示できれば、他の商品もあわせて購入してもらいやすくなるので、結果的に商品購買率の向上につながります。
ECサイトにレコメンドエンジンを導入すると、以下のデメリットが発生する可能性があります。ここからは、ECサイトでレコメンドエンジンを導入するデメリットについて解説します。
1. レコメンドが正しく機能するまでに時間がかかる 2. 商品やコンテンツが少ない場合は効果が薄い |
レコメンドは、正しく機能するまでに時間がかかる場合があります。一般的にレコメンドエンジンは、ユーザの行動履歴や購入履歴などの情報に基づいてレコメンドする商品を決定します。
データの収集・分析が効果的なレコメンドの実現には欠かせないため、ECサイトを立ち上げたばかりの時期や、ユーザ数が少ない状況では、適切なレコメンドが行えない場合があります。導入当初は、ユーザに対して魅力的な商品提案を行うまでに時間を要するため、導入に際し費やしたコストをすぐに回収することは難しいでしょう。
レコメンドエンジンの導入には、商品やコンテンツが少ない場合は効果が薄いデメリットもあります。出品数が少ないECサイトでは、ユーザにおすすめできる商品やコンテンツの選択肢が限られてしまうため、レコメンド機能のメリットを十分に引き出せません。
また、十分なデータやアイテムが揃っていなければ、ユーザに対して適切な提案ができず、かえってユーザ体験を損なう恐れもあります。
レコメンドのメリットを最大限得るためには、ECサイトの商品数を充実させる必要があります。
ECサイトでレコメンドエンジンを活用すると効果が高いページは以下です。ここからは、ページごとのレコメンドエンジン活用方法を4つ紹介します。
1. トップページ 2. 商品検索ページ 3. 商品ページ 4. カートページ |
トップページでのレコメンドエンジン活用は、ECサイトにアクセスしたユーザに対して効果的なアプローチです。多くのユーザが最初に目にするトップページに、人気の高い商品をおすすめとして表示すると、新規ユーザの興味を引きつけ、各商品ページへの導線を確保できます。また、トップページはアクセス数が多く、ECサイトの第一印象を決定づける重要な箇所であるため、魅力的な商品を配置できれば、サイト全体のイメージが向上します。
商品検索ページでのレコメンドエンジンの活用は、具体的な商品を探しているユーザに対して特に有効です。商品検索ページでレコメンドを実施して、ユーザが求めている商品をスムーズに見つけられるようにサポートできれば、サイトからの離脱を防止できます。商品検索ページでの離脱防止・購買意欲向上に効果的なレコメンドの例は以下です。
1. 人気商品のランキングを表示 2. 検索条件に該当する商品がない場合にそれに近い商品を提案 3. ユーザが検索窓にキーワードを入力中に該当する商品を表示 など |
これらの例のように、ユーザがECサイト内で購入を取り止める前に多角的な提案を行えば、購買率の向上や顧客満足度の向上が図れます。
商品ページでのレコメンドエンジンの活用は、ユーザに関連商品の提案で購買意欲を刺激し、購入率をアップさせる効果があります。商品ページには、その商品に関連するほかの商品や、よく一緒に購入されているアイテムの表示が有効です。レコメンドにより、ユーザは元々閲覧していた商品と比較する機会を得られ、実際の購入へとつながりやすくなります。
カートページでのレコメンドエンジンの活用は、購買意欲のあるユーザに対してクロスセルを促進する重要な役割を果たします。ユーザがカートに商品を入れた時点で、その商品の情報をもとに関連商品をレコメンドすれば、追加の購入を促せます。カートページでのレコメンドの例は以下です。
カートにイヤホンを入れたユーザに対して、イヤホンケースやケーブルを提案して、買い忘れていた商品や、意識していなかった便利なアクセサリなどの購入を促す |
これらのようなレコメンドを実施すれば、平均客単価の向上が期待でき、ECサイトの収益増加が見込めます。
ここでは、ECサイトへのレコメンドエンジン活用事例を紹介します。
1. 宮地電機株式会社 2. Amazon 3. 楽天市場 |
宮地電機株式会社は、電設資材の販売を営んでおり、ECサイト「電材ネット」の運営も行っています。電材ネットの導線改善・レコメンド表示を実施するために、「GENIEE SEARCH for EC」と「GENIEE RECOMMEND」を導入しました。2つのツールを導入した結果、以下の改善を実現しています。
ツール名 | 改善内容 |
GENIEE SEARCH for EC | ・100,000点の商品ラインナップを対象としたスムーズな検索を実現
・検索キーワード入力時に、候補となるアイテムを画像付きでサジェスト表示してユーザの離脱を防止 |
GENIEE RECOMMEND | ・商品ページ到達後、よく一緒に購入される商品をレコメンド表示
・カートページにもレコメンドを表示し、購入忘れ防止やクロスセル促進に活用 |
これらの改善により、導入前と比較してCV数が137.5%に向上(レコメンド経由のCV数は全体の約11%)しました。
ECサイトへレコメンド機能を導入する際は、外部の支援ツールの利用がおすすめです。多角的なレコメンド機能によりECサイトの売り上げ・顧客満足度の向上を実現できる支援ツールが「GENIEE RECOMMEND」です。GENIEE RECOMMENDは、独自のロジックをベースとしたAIレコメンド技術を採用しており、購入漏れを防止してクロスセルを促進できるレコメンドを実現できます。GENIEE RECOMMENDのAIレコメンドでは、顧客のさまざまなデータをもとに、以下の観点で分析を行います。
1. ユーザ同士の相関 2. ECサイト内での行動 3. ユーザの興味 4. アイテムの相関 5. レコメンドからの閲覧を把握 |
GENIEE RECOMMENDは、これらの観点から導き出すパーソナライズされた商品提案が可能な点が強みの一つです。
GENIEE RECOMMENDへのお問い合わせ・資料請求は以下のリンクから↓
Amazonのレコメンドエンジンは、ユーザにパーソナライズされた体験を提供し、商品の発見を促進するための重要な機能として活用されています。Amazonは「閲覧履歴に基づくおすすめ商品」や「再び購入」など、さまざまなレコメンド機能を利用しており、これらがレコメンドの一部を形成しています。また、商品購入時には「この商品を買った人はこんな商品も買っています」や「一緒に購入」など、異なる観点からも商品がレコメンドされるのが特徴的です。
楽天市場のレコメンドエンジンは、顧客データの分析をもとにユーザにパーソナライズされた商品提案を行って顧客体験の向上を図っています。ホーム画面には「人気商品ランキング」や「あなたにおすすめの商品」などが表示され、ユーザの購買意欲を刺激するよう設計されています。また、商品の詳細ページを閲覧すると、関連商品や「この商品を買った人が興味を持った商品」がレコメンドされる点も売り上げの向上に役立っています。
ECサイトにレコメンドエンジンを導入する際には、以下のポイントに注意しましょう。
1. 運用目標を明確にする 2.運用に十分なデータがあるかを確認 |
レコメンドエンジンをECサイトに導入する際には、運用の目的・目標を明確にして取り組む環境の構築が大切です。事前に以下のような目的や目標を整理しておくと、導入後の効果を最大化できます。
1. 売上向上 2. 客単価の向上 3. リピーターの獲得 など |
これらのような目標・目的を設定しておくと、レコメンドエンジンの活用効果を正確に評価し、必要な改善を図りやすくなるメリットも得られます。
レコメンドエンジンをECサイトに導入する際には、運用に十分なデータがあるかの確認が不可欠です。レコメンド機能は、ユーザの行動履歴などのデータをもとに最適な提案を行う仕組みですが、データの量が少ないと正確なレコメンドの実施が難しくなります。
また、商品自体の質が高くても、購入者が限られるマニア向けやニッチな商品では、十分なデータが集まらずレコメンドの対象になりにくい傾向があります。レコメンド機能の効果を最大限発揮するためには、ある程度のユーザ数とデータの蓄積が必要であり、導入前にこれらの条件を満たしているかを確認することが大切です。
レコメンドエンジンの導入は、ECサイトの売り上げ・顧客満足度の向上に役立つ手法です。導入の際には、デメリットや注意点を把握しつつ、ECサイトの特性や取り扱う商品・サービスによって導入するレコメンドエンジンを検討する必要があります。
ECサイトにレコメンド機能を導入するなら、AIレコメンドで最適な提案が可能な「GENIEE RECOMMEND」の利用がおすすめです。GENIEE RECOMMENDは、ユーザニーズに対し適切な提案を行うレコメンドサービスを提供できるツールで、以下の特長があります。
1. ユーザの行動をAIが学習・分析し、独自のロジックをベースとしたパーソナライズされた商品提案が可能 2. GENIEE SEARCHと連携して価格や在庫の変動に対応した鮮度の高いレコメンドが可能 3. 要望に応じたレコメンドロジックを提案・開発できる 4. 導入後も専任のサポート担当が目標達成のために伴走 5. 高い拡張性でマーケティングをサポート |
これらの特長を活かし、さまざまな業界・企業のECサイトへのレコメンド支援が行えるのがGENIEE RECOMMENDです。
GENIEE RECOMMENDへのお問い合わせ・資料請求は以下のリンクから↓
GENIEE SEARCH編集部
(X:@BST_hoshiko)
ECサイトや企業サイトにおける快適なユーザ体験を実現するための導線改善方法から、ECマーケティングの手法まで幅広く情報を発信しています。